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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
2-無双は死亡の元
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16

 ……一体、どれほど戦っただろうか。邪悪な気配を纏ったアンデットは、リリとミミの必死の攻撃により、ついにおぞましい断末魔を上げながら消滅した。ゴロンと落ちる赤いコア。何とか、倒すことができた。

「や、やった……」

 へなへなとその場に倒れ込むミミ。リリも肩で息をしている。二人にとって、これは思わぬ長丁場だった。

「ううぅっ……。お姉さんたち、本当にありがとう……」

 茂みに隠れて怯えていた青年魔導士は、アンデットが消滅したのを目視して、ようやく姿を現した。目には大粒の涙を浮かべている。よほど怖かったのだろう。

「いやぁ、びっくりしたわよ……。まさか、こんなところにアンデットがいるなんて……」

「まぁ、倒せたからいいんじゃない? ほら、コアも手に入ったし」

 ミミとリリは口々に喋り、互いに顔を見合わせる。「たまには、協力するのも悪くない」。青年を庇ってアンデットを倒したことで、二人の間に微かな友情が生まれた。

「……あっ!! 早く師匠のところに戻らなきゃ!!」

 休憩モードに入らんとしていたが、勝手に場所を離れた以上、ノアに心配をかけるわけにはいかない。ミミは「しまった!」と言いたげな声で、いそいそと来た道を戻った。

「ちょっと、待ちなさいよ!!」

 リリもコアを片手に、急いでミミの後を追う。その後ろでは、青年が「本当に、本当に、ありがとうーー!!」と叫んでいた。……謎の笑みを浮かべながら。

 

「師匠ー?」

「……いないわね」

 元の場所に戻ってきた弟子二人組だったが、そこに師匠・ノアの姿はなかった。

「もしかして、先にダンジョンに行っちゃったとか?」

「まさか! 師匠が私たちを置いていくわけないじゃない!」

 ミミの予想を、リリは即刻で否定する。彼は弟子想いなのだ。断りもなく勝手にダンジョンに向かうなんて真似はしない。

「けど、どこにもいないわよ? もうダンジョンに行ったとしか考えられないじゃない!」

「ミミ、ちょっと落ち着きなさいよ。まずは状況を整理して――」

 

「大変だーー!! ど、ドラゴンが……、レッドドラゴンがダンジョンから出てきたぞーーっ!!」

 ――リリの呆れたような声色は、男性冒険者の驚嘆によって掻き消された。

「なっ……! レッドドラゴンですって!?」

「リリ! 行こう!」

 師匠が狙っていたモンスターが、なんとダンジョンから出現したらしい。もしかしたら、彼の仕業かもしれない。二人は全力で森を駆け抜け、冒険者の声のする方へと急いだ。


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