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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
2-無双は死亡の元
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11

「はぁ……はぁ……」

 疲れ切った様子の青年。スライムとの鬼ごっこで、随分と体力を消費してしまったらしい。

「お姉さんたち強いね……。僕、全然ダメダメだよ……」

 疲労を一切見せないリリとミミをちらりと見て、彼は諦めたような瞳をする。左右に編み込まれた短い三つ編みが、儚げに小さく揺れた。

「村のみんなにも言われたんだ。『おまえは絶対、冒険者に向いてない』って。だけど無理やり冒険者になって……、このザマだもん。あはは、お笑いだよね……」

 意気消沈とする彼。早くも冒険者としての壁に突き当たってしまったようだ。

「気にすることないわよ。私だって、昔は弱かったし」

 泣き出しそうな彼を見て、ミミが慌ててフォローに入る。さすがにスライム相手に逃げ腰ということはなかったが、彼女だって師匠のノアと出会う前はへっぽこだったのだ。

「君、まだまだ初心者みたいだし、これからだよ、これから!」

「そうね。もっと魔法の勉強をしなさいよ」

 隣のリリも口を挟む。口調はややきついが、これも彼女なりの気遣いだ。

「……ありがとう」

 二人の言葉を聞いて、赤目の青年は嬉しそうに顔をほころばせた。

「うん。僕、もっと頑張るよ――」


 ――彼の意気込みを遮るように、突如出現したモンスター。……なんと、巨大なアンデットだ。

「うそ!?」

 ミミは思わず目を見開く。アンデットはダンジョン内でしか出現しないはずなのに、何故このような場所にいるのだろうか。

「ひっ……!!」

 恐るおそる後ろを振り返った銀髪の青年は、一瞬でその可愛げのある顔を引きつらせる。とてもではないが、初心者が敵う相手ではない。

「下がって!!」

 アンデットは三人を見つけるや否や、闇属性の魔法陣を召喚した。リリは咄嗟の判断で青年を後ろに下げ、氷属性の魔法で敵の攻撃を相殺する。決して相性が良いわけではないが、彼女の得意な属性魔法なのだ。

「何でこんな場所に、アンデットが……!?」

「そんなこと言ったって、いるんだから戦うしかないでしょ!?」

 未だに疑問符を浮かべているミミを、リリは一喝する。相手が戦闘態勢に入っている以上、迷っていたら確実に殺されてしまう。

「わ、分かってるってば!!」

 ミミも慌てて気を引き締めて、精神を統一させた。師匠の下に帰る前に死んでしまっては、最早話にならない。ここはしっかりと、やつを倒さなければ。普段はいがみ合っている二人の弟子は、こうして手を組むことになった。

 

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