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冒険者ギルドも堕ちたものだ。ベルの付いた木製のドアを開きながら、ウルカはそう思った。長いこと生きている彼だが、幼い頃は冒険者に憧れを抱いていた。今では最早、どれほど願っても叶わない夢となってしまったが。
レオの街から少し離れたところにある、とあるギルド。クエストを受けるためにロビーに集まっていた冒険者たちは、顔の隠れた黒づくめのウルカを見て、ぎょっとしたような視線を送った。女性のみで構成されたパーティが、彼の姿を横目にひそひそと囁き合う。
ウルカは人混みを無遠慮にかき分け、オレンジ色の髪をした受付嬢の前に立った。彼の顔を見るや、受付嬢のエルフはすっと目を細める。
「……お待ちしておりました」
そう言うと、彼女はウルカに向かって小さく頷き、「どうぞ、こちらへ」と奥を指差した。ウルカは無言のまま、彼女の背中を追う。その後ろでは、冒険者たちが「一体何なんだ?」と不信を露わにしていた。
ウルカが通されたのは、廊下の奥の応接間。小さなテーブルと椅子が二つ。窓はなく、非常に圧迫感のある空間だ。
着席を促されたウルカは、部屋の様子をしっかりと観察してから席に着いた。以前、依頼と見せかけた奇襲に遭ったことがあるので、それ以来慎重になっている。




