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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
7-偏愛の執着
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「待ってください! なら、俺たちも二手に分かれます!」

 ……リーダーの突然の一言に、パーティメンバーは騒然とする。

「ハヴィカ! それはいくら何でも危険でしょ!?」

「合流できなくなっちゃうかも……」

 ソフィとノーシスが否定的な意見を述べる中、彼は「それでも!」と叫んだ。

「俺、放っておけない! この先は強力なモンスターがいる!」

 きっぱりとそう言い切ると、彼はすっとウルカの顔を見た。

「冒険者は、ただ自分の目的を果たせばいいわけじゃありません。危険な人を見掛けたら、すぐに助ける。困っている人がいたら、救いの手を差し伸べる。そういう存在なんです」

(そうか……?)

 ウルカは密かに眉をひそめたが、彼は純真な瞳でにこっと笑い掛けてきた。

「だから、俺たちも二手に分かれます。あなたたちだけでは、絶対に危険ですから」

 彼は自分とノーシス、アーサーとソフィのチームに分け、ウルカにアーサーのチームを寄越した。

「……ハヴィカのやつ、本当にお人好しなんだから」

「まぁ、何とかなるだろ。今までだって、何度もこういうことあったしな」

 ソフィとアーサーは顔を見合わせてこう話した。彼の親切は、最早日常的なことらしい。

「お兄さん、本当に優しいね」

「いやいや、当然のことだよ」

 ティオたちは仲良さそうに、左の道へと入っていった。その背中を見つめながら、ウルカはふと考える。人間という、不思議な種族について。

(ああいうやつがいるのに、醜い争いが起こる……。つくづく、エルフとは大違いだな)

 ……馬鹿馬鹿しい、実に無意味な考えだ。そう思いながらも、彼は懐古せずにはいられなかった。幼少期には確かに存在していた、「調和」を基盤としたエルフ社会のことを。

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