表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
7-偏愛の執着
136/151

9

(兄さんがいなくなったのは、吸血鬼のせいだ)

 一年前、兄と一緒に歩いた道。夜も更けたこの場所に、今はウルカ一人だけだ。決まって遭遇するはずの吸血鬼も、最早どこにもいない。

(兄さんが消えたとき、吸血鬼もこの森から姿を消した。きっと、吸血鬼が兄さんのことをさらったんだ)

 吸血鬼に対して優しかった兄。目を付けられるのは当然だ。少なくとも、ウルカはそう考えていた。

「くそっ……! 吸血鬼のやつ、どこ行ったんだよ!」

 薄暗い森で、ウルカは思わずそう叫んだ。

 

「知りたいか?」

 ――突如、上空から降り注ぐ声。この翼のはばたき、ウルカは何度も耳にしたことがある。

「……っ! 吸血鬼!」

 ウルカの目の前に降り立つ、吸血鬼の青年。彼の群青色の髪が、実に怪しげだった。

「兄さんを返せ!!」

 ウルカはばっと彼に詰め寄り、その青い瞳を睨んだ。激しい憎悪が、ウルカの顔から溢れ出る。

「兄さん? ……ああ、あのフェアリーのことか」

 そう言うと、吸血鬼は不気味な笑みを浮かべた。何が面白いのか、クスクスと笑っている。

「おまえっ……!」

 吸血鬼の笑いが、ウルカの中の怒りを増長させる。彼は思わず右手で拳を作り、吸血鬼の顔面に殴り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ