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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
6-冬景色と追憶
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17

 土産やら夕飯やらとともに帰ってくると、カフェスペースは甘いお菓子のにおいに包まれていた。

「あ、おかえりー!」

 ウルカたちの顔を見るや、ユリネとチャイがパタパタと駆け寄ってくる。二人が両手いっぱいに持ったカゴの中には、沢山のクッキーが。

「シフォン! いろんな味のクッキー作ってみたよ!」

 ユリネがカゴをずいと持ち上げ、その中身をシフォンに見せびらかした。

「プレーンでしょー、チョコでしょー、あ、あとチーズ味も作ったよ! 形も可愛くしたんだー!」

「わぁー! 美味しそう!」

 シフォンは素朴な色合いのクッキーを見つめ、そして目を輝かせた。今年の限定メニューは、これに決定だ。

「あ、帰ってきたんだ」

 盛り上がる双子の後ろから、ティオがひょいと顔を出した。小さく首を傾けて、「おかえり」と声を掛ける。

「あのさ、ウルカ」

 そう言うと、彼はウルカに小さなアクセサリーを手渡した。細工が美しい、銀色のイヤリング。まばゆい輝きを持つそれは、ウルカの手の平で小さく光る。

「それ、プレゼント。付けてみて」

 ウルカは一瞬戸惑ったが、ティオに言われるがまま両耳にぶら下げてみた。少しの冷たさが、耳たぶに伝わってくる。

「どうだ?」

 ウルカが耳を見せながらそう尋ねると、彼は寂しそうな笑みを浮かべた。

「うん。やっぱり、似合うね」

 その言葉は、まるで遠くの誰かを思い出しているようだった。

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