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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
6-冬景色と追憶
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11

「「オマタセシマシタ」」

 エピとナコが運んできた品々は、温かい手作り感のあるものだった。ウルカとパルフェのコーヒーは香り高く、No.95とNo.98の目の前に置かれたフロートも、色合いが鮮やかで見た目にも楽しい。だが一番驚いたのは、ヴァニラのために用意されたデザートだった。

「……凄いな、これは」

 ウルカは思わずつぶやいた。山のように乗せられた白いアイスクリームに、旬の果物が沢山添えられている。これで他のメニューよりも少し高い程度なので、まさに破格の値段設定だ。

「ふん、ふん、ふん」

 ヴァニラは喜びの感情を表し、即座にアイスクリームを突き始めた。その白い表面が、さっと掬われていく。

「ウルカ、チーズケーキも美味しそうだよ!」

 シフォンが可愛らしく皿に近付きながら、切り分けられるのを待っている。先ほどのイラストと言い、どうやら彼女はチーズケーキが好きらしい。

「そうか。今切り分けるから、少し待っていろ」

 フォークを使って小さくカットすると、シフォンはそれを嬉しそうに食べ始めた。滑らかなチーズの甘みが口の中で広がり、彼女は「んーー!」と声を上げる。

 その一方で、No.95とNo.98は黙々と飲み物に口を付けていた。感情の起伏を一切感じさせないまま、徐々にグラスの中身を減らしていく。

「二人とも、美味しいかい?」

 パルフェが横を向くと、二人は無表情のままこくんと頷いた。

「はい、美味しいです」

「僕も同じく」

 そう言うと、再びグラスを手に持つ彼ら。パルフェはその様子に、小さく苦笑した。

「あたしも、まだまだだね」

 マグカップを右手に、彼女はホムンクルスたちを眺める。目指すゴールは、もう少し先のようだ。

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