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異世界「ざまぁ」代行業者  作者: 田中なも
6-冬景色と追憶
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9

 注文が来るまでの間、ウルカたちは他愛のない話を続けた。ホムンクルスたちは意気投合したのか、ナプキンに思い付くままに絵を描き始めている。

「本当にさー、あたし、ルラに生まれてなくて良かったわ」

 パルフェはポニーテールの後ろに両手を回しながら、そうつぶやいた。彼女の毛先が、動作とともに少し揺れる。

「確かにな。おまえがルラ国民だったら、今頃アーネラ本部にでも監禁されているんじゃないか?」

 錬金術に長けているパルフェは、その気になれば亜人を大量に生産できる。ルラ国内にいたら、アーネラの格好の餌だろう。

「怖っ! あたし、ずっと錬金術させられるわけ?」

「良かったな。死ぬまで暮らしに困らないぞ」

 あくまで現金なウルカに、パルフェは小さく肩をすくめた。

「そりゃそうだろうけどさ、あたしは自分のホムンクルスが奴隷になるのはイヤだよ」

「だが、おまえがそう言っている間にも、貧しい亜人は奴隷として売買されている。自分のホムンクルスは駄目で、生身の亜人はいいのか?」

 奴隷制度は、この世界に深く根付いてしまっている。人間が台頭し始めた時代から、この世を円滑に動かしているのだ。

「正論。けど、あたしにはどうにもできないよ。あんただって、本当は微塵も思ってないくせに。それとも、プレとでも手を組んでアーネラをぶっ潰すつもり?」

 「万人救済」を掲げるプレは、東のメカ国を拠点としており、政治的な側面でも深く関わっている。プレとアーネラがぶつかりでもしたら、メカ国とルラ国の争いになってしまう。

「プレを焚き付けたら、それこそ戦争になるぞ。アーネラを潰せたとしても、責任が取れない」

「まぁ、戦争はごめんだね」

 パルフェはそう言い捨てると、ホムンクルスたちの絵を覗き込んだ。可愛らしい絵が並ぶ中、上手い絵と下手な絵が混じっている。

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