表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/81

9. 頭が変わってもやる事変わらぬ


スライを旗頭として天下統一(開拓村)を果たし、混乱を治めた我々は一時の平和を得た。


お馬様で混乱してたはずで解決してないんだけどもねー。


あれから小太りなスライは剣の素振りを始めた。

示威行動もあるだけだろうけど、群れていたカースト1位メンバーが居なくなり自分の身は自分で守るしか無くなった危機感が彼を駆り立てているのだろう。割と真剣だ。



食べ物が少ないから無駄に運動して無駄に食べるのはやめて欲しい。



補給役はやはり人数減った分だけ配給量を減らした。

村内闘争劇はペナルティにはならなかった様で人数割だと現状維持くらいだそうだ。ちょっと安堵した。


お馬様降臨の件は持ち帰り検討らしい。

自分の身が可愛いのだろう。逃げる様に帰って行った。()もありなん。


⋯⋯10日後ちゃんと配給に来てくれるのか不安だ。



「スライ、これ、見ていいか?」

荷を指差して打合せから戻ってきたスライへ聞いてみる。


「ああ、確認してくれ」


よっしゃラッキー!言ってみるもんだな。

荷を確認してみると芋が300個、玉ねぎ20個、掌サイズ干し肉10個、塩とランプ用油それぞれ一袋、だった。

5人分なのかな?テキトーやな。助かるけど。


何だよ玉ねぎとか干し肉とか結構あんじゃん。晩飯のスープらしき物にはカケラしか入って無かったのに!


「スライ、無い、ならない、食べる、大丈夫か?」

うーん。通じるかな⋯⋯。


ジェスチャーとシミュレーションを交えて何とか伝える。


毎食、1人芋3つずつ。玉ねぎ1つと干し肉半分を使ったスープを食べ、芋60個は備蓄しておく事を提案してみた。

さり気なく朝飯お湯じゃなくてスープしようぜも盛り込んでいる。



⋯⋯当初、難色を示していたスライだが、備蓄はスライの物とした所で喜んで合意した。

今まで芋4個は食ってたんだから4個は食いたいそうな。そうですか。


機嫌が良くなったところで、在庫の余っている塩をくれくれ要求をしてみたら理由も問われずに許可が出た。チョロい。


知識チートによると塩こそが辺境での生命線!俺の左手の紋章が疼くぜ。奴隷紋だけど。


色々使えるんだよね塩。スープの塩味は干し肉オンリーだったらしく一袋丸々残っていた。



晩飯時に4人で今後どうするかの話になったが、飯炊女バータは相変わらず死んだ目で一言も喋らず、スライとダン爺が話し合っていた。


話し合っていたというか無口なダン爺にひたすらアレコレ丸投げしようとしてる風だけど。


俺はネイティブな会話速度についていけなかったので、意見を求められた時にとりあえず柵を強化した方がいいんじゃなかろうかと言ったら「是非、頼む」とのお言葉。


おっとー。


その代わり、水汲みはしょうがないとしても薪のために村周辺の柴刈りくらいは誰かにやって欲しいとお願いしたら皆目を逸らし場が静まり返った。

ダン爺、お前もか。


「じゃ、水汲みは⋯⋯?」


「⋯⋯水汲みも柴刈りも、柵の補強もやって欲しい」

絞り出した様な細い声でスライがそう言った。


ため息一つ。



ああーこういう会議、経験あるわー。


あれですね。会議という名の押し付け丸投げ会ですね。わかります。

言い出しっぺがやれとか言われてしまう、発言すると損するやつやな。


「水も薪も、少なく、使うならいい。全部、できない」


「分かった。無駄使いしない様に気を付けよう」



⋯⋯そんな感じでほとんどが俺に丸投げされ会議はお開きとなった。外に出ないで出来る事ってここには余りないもの。そりゃそうだ。


食生活は若干改善したし、人数も減ったので前よりはマシになったと思いたい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作の異世界トイレもよろしくです!

拙著ファンタジーには馴染めないコミカライズ第一巻、フロンティアワークスさんのFWコミックスから発売中!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ