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53. 知らない神と修道士


取調べなど受けつつ、城の一室での拘留は3日間に及んだ。


武装解除はさせられていたが革のブーツは没収されなかったので、心にも余裕があり手慣れた優雅な休暇生活だ。ちなみにマックス達とは別室だ。


裸足だと飛べないので、脱げと言われたら飛んで逃げていただろう。



どうやら臣下となれば統治方法は変えずに領地を安堵する方針の様だ。


予想通りではあるが、塩はかなり値上げになり、貴族章の作り直しという名目の費用拠出を求められた。王国だろうが帝国だろうがどっちでもいいけど金貨10枚は痛い。


ようやく釈放かと思ってたら簡素な応接間に案内された。待っていたのは宗教関係者とおぼしき方々だ。


「マガラ士爵とやら。其方、魔族を率いてきたらしいな。どう言う了見だ?」


⋯⋯魔族?


「亜人種のゴブリンが我が軍の主力だが⋯⋯魔族ではない」


「それを魔族と言うのだっ!汚らわしい!即刻皆殺しにせよ!」



なん⋯⋯だと⋯⋯。

思わず歯をくいしばる。


「ゴブリンは我が領の大切な住人だ。言葉も通じる!」


「⋯⋯悪辣な⋯⋯神の教えに叛逆するとは何たる冒涜。修道士達よこの者を捕らえ処刑せよ!」



辺りから噴き出すマナ。


修道士と呼ばれた者達がチャクラを活性化させたのが感知できた。



⋯⋯コイツら中丹田でマナを扱っている?


手にしているのは魔具であろう。既に発動できる状態だ。



俺は飛び上がり、天井近くの窓を破り脱出する。ここは多勢に無勢、逃げの一手だ。


背後から何度も響く炸裂音。

振り返ると窓から煙が上がっていた。



⋯⋯不味いな。

帝国とは折り合いが付かなそうだ。今更、ゴブリンさん達を失う事なんて俺にはできるはずもない。


王都の外で着地し、石を拾いながら飛行可能な追っ手を警戒していたが、どうやら飛行魔法までは使えない様だ。騎馬隊が駆け出しているのが遠目に見えた。


それでも魔石無しに魔術を連発できるマナ使いは脅威だ。あっさりと王都が落ちた理由も腑に落ちる。


ここでメテオで城に一矢報いたい気持ちではあるがマックスも元傭兵達もまだ城に残っているかも知れないので自重しておく。手札を見せるのも時期尚早だ。



再び飛行し、王都手前の宿場町でロイ達と合流する。


「緊急事態だ。王国が滅亡して帝国になった。我々、マガラは帝国には臣従しない」


「御意に」


顔色も変える事も疑問を挟むでもなく唯々諾々と従ってくれるゴブリンさん達に感謝だ。俺はゴブリンさん達を失う位なら世界とも戦ってやる。


荷と荷車は宿場町で捨て値で売却した。



「総員。全力撤退」


「はっ!」



ここからは時間の勝負だ。


帝国がどの程度の戦力を保持しているかは不明だが、恐らくダンダムも敵に回るだろう。今のうちに打てる手は打っておかねばなるまい。



風除けに先行してくれたロイ達の一糸乱れぬ編隊飛行を背後から眺めながら帰路についた。



マガラ領に戻れたのは一晩明かして翌日の午前中だった。


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