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49. 負の系譜


寝て起きたら細けぇ事はどーでもいいかと開き直った。


母上様ことエメリーヌは今の所、我儘を言うわけでもなく意外と楽し気に村生活を満喫している様なのだ。1人くらい食い扶持増えても変わらないだろう。


寧ろ、サーラちゃんと仲睦まじく過ごしてくれているので却ってありがたい。いつの間に仲良くなったんだあの2人⋯⋯。呼び捨てで呼び合ってるんだけど。



こうして村の人族が3人に増えた所に、忘れかけていた森人エルフの来訪があった。


先日のイケメンエルフと正統派美少女エルフだ!

凄い⋯⋯人形みたいだ。

よく見ると震えている。あ、マナ循環か。


目が合うと顔を伏せられてしまった。


『先日は名乗らず失礼仕りました。拙者はレイン。こちらは従姉妹のディートと申すでござる』


平伏する2人。名前がパチモノ臭い気がするのはこの際放置しよう。


『顔を上げてくれ。そんなに恐縮しなくていいから』


森人の集落では二百人程が暮らしており、こちらの村より大きい様だ。迷い人先輩の現代知識チートをベースに織物や酒造りまで行っているそうだ。何それ羨ましい。


マナの扱いは使い道が無いせいか廃れており、感知系のみが伝わっている模様。魔法の発現は伝授されていない様だ。


とりあえずこのエルフ2人にはこちらの現地語を習得してもらって友好の架け橋となってもらう事にした。


「ダリ。他のゴブリン達も何人か言葉を覚えて欲しい」


「分かっただすっ。頭の良いのを選んでくるだす」


「サーラとエメリーヌ殿には彼等に言葉を教える事を頼みたい」


のんべんだらりと過ごすよりこの2人にも役割があった方が良いだろう。


「⋯⋯うん!」

「承知しましたわ」


そしてダリにはダンジョンの間引きというか魔石拾いを手伝って貰おう。1人で蟻の巣の魔石拾いは苦行なのだ。ついでにダリもレベリングだ。


『どうしても分からない言葉は俺とレインで解決しよう』


『承知仕ったでござる』



森人との交易をレインと話し合ったりしながら久々に明るい話題で盛り上がった。



◆◆◆◆◆



皆が寝静まったその夜。



『⋯⋯殺せ』


囁く様なその声に意識が浮上する。



月明かりに浮かび上がる芸術彫刻の様な裸体。

腰まで伸びた髪が近寄る度に揺れ黄金に輝く。


⋯⋯トラップを抜けられたっ。


寝床を飛び起き、傍の短槍を掴み穂先を向ける。



『くっ⋯⋯殺せ!』

尻餅をついたディートが怯え震えながらも日本語を発した。


こ⋯⋯これは⋯⋯。



「⋯⋯ダメ!」


あー隣で寝てたサーラちゃんも起きちゃった。


『くぅ、ころせ?』


壊れたオモチャの様に同じセリフしか喋らないディートに頭が痛くなった。



これは多分レインの仕込みだ。


迷い人先輩から教わったのだろう。

代々伝わってしまった迷い人が喜ぶという誤った作法。


⋯⋯くっころプレイを。



眠いし面倒になったので、震えるくっころエルフを招き寄せ、心音を聞かせながら背中をポンポンして寝かしつける。子犬を落ち着かせる要領だ。


こんなに震えるくらい怯えている女の子に何やらせてんだ。あのポンコツイケメン。


逆サイドも抱き着いてきたのでこちらも背中ポンポンだ。ドウドウ。



朝、からりと晴れ天気は良かったが、両腕が枕になってしまった俺は余り眠れず不機嫌だった。


『ゆうべはおたのしみでプゲラッ!』


したり顔でやってきたポンコツイケメンには有無を言わせず重力マシマシをプレゼントだ。


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