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45. 幼女覚醒


感知を続けながらウトウトした程度では流石に眠いが、敵の湧かないボス部屋とは言え熟睡する訳にも行かない。年を食うとこの辺が辛い。


サーラちゃんは無事二段階目のレベルアップも果たした様だ。


寝たままにしたまま魔具を取ってきちゃうか?とか考えてたらサーラちゃんが起きた。


「大丈夫か?」


「⋯⋯うん」


顔色は問題なさそうだ。いや色は暗くて分からんけど無理してる様子は無い。


「ここで待ってるか?」


「⋯⋯嫌」


嫌かー。まぁ女王蟻なら開幕メテオをキッチリ決めれば大丈夫だろう。複数いる山羊の方が厄介だ。



「ここからはより慎重に行く」


「うん」




結局、山羊も女王蟻も部屋の入り口をちょっとだけ開けて射角を確保し、メテオでスナイプした。


「⋯⋯拍子抜けだな」


「うん?」


「行こう」


「⋯⋯ん」



蟻の巣の内部は爆撃された痕跡が色濃く残っていた。何となく想像していたけど女王蟻は火球を使えるのだろう。あの図体で直接攻撃なんて無理だしなぁ。


周囲の産卵された卵は前回ほどは無いもののそれなりの数に増えてしまっている。面倒だから爆撃しとけば良いだろうか⋯⋯。




「これ⋯⋯」

差し出す鈍色の短剣。


サーラちゃんお手柄だ。風撃の短剣は騎士達の残骸付近に落ちていたみたいだ。


「よく見つけてくれた。軽くマナを通してみてくれるか?」


「ん⋯⋯くぅ」


歪む表情に一度止めた。



水袋から水を流し、中空を指差し尋ねる。


「ここら辺に何があるか分かるか?息を吸ったり吐いたりしてる物だが」


首がコテンと横に倒れた。



空の水袋に空気を入れ、入り口を締める。


「この中に入っている物だ。『空気』と呼ばれている」


パンパンになった水袋を見せ、更に説明する。


「袋を押すと風が勢いよく出てくるだろう?」


コクコクと頷くサーラちゃん。


「マナで見えない袋を作ってギュッと潰すのがこの魔具の魔術だ。もう一度マナを流して貰えるか?」



「ん⋯⋯あっ⋯⋯!」


収束する空気に大気が震える。マナを込め過ぎだ!



「力を込め過ぎだっ!向こうに振り切れ!」


言われるまま軽く振った様に見えたが、手元からも発生した衝撃波がサーラちゃんを軽々と弾き飛ばす。


慌てて抱き抱えるも、同時に奥からは地響きと爆風がやってきて更に吹き飛ばされた。





「痛っつ⋯⋯大丈夫⋯⋯か?」


ゴロゴロと転がる間も庇ってはいたが怪我はないだろうか。濛々と吹き上がった土煙に目も開けられない。


「⋯⋯大丈夫」


か細い声が聞こえたのでそのまま背中をポンポンする。



いやーびびった。なんだアレ。


騎士団長の使う所を見ていたから気軽にマナを流して貰ったけど何だありゃ⋯⋯。まるで別モンじゃねーか。


仕組みが理解さえ出来れば使えるんじゃないかの想定は合っていたが、とんでもない事を起こしてしまったのではないか?


ぅゎ、ょぅι゛ょっょぃ


そんな疑問が脳裏をよぎった。



マックス連れて来なくて良かった。


指輪の方は触媒とかこちらの世界では説明の難しい概念だったり、そのせいで無駄に非効率だったりするけど、他の人にマナで魔具を扱う事を教えるのは封印しとこう。マナの扱い方も。



土煙が落ち着いた所で女王蟻の大きな魔石を拾い、とっととダンジョンを後にした。



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