8話 武器
「天使って……またかよ!?」
「愚痴は後。とりあえず車に乗って」
楓に促されるまま車に乗り込む十葵達。
「いい?落ち着いて対処すれば、昨日のように上手くいくから。慌てないで冷静にね」
萌佳がアドバイスをくれる。
「め、めっちゃ緊張するわ……」
翔太が深呼吸をしている。
「も、萌佳達も武器はあんのか?」
「あるよー!とっても強いのが!」
フンフンと鼻息荒く元気に風羽が返事する。
「心配してくれてありがとう。けど、今は自分たちのことに集中して。危険と思ったら迷わずに逃げて。これは約束」
結依が念を押すように言う。
「わ、わかった」
何度も頷く翔太。
「そろそろ着くわよ」
楓が一度車を停める。
「じゃあ、私たちはこっちの天使を相手にするから。お互い、無事で」
笑顔で拳をぶつけ合う十葵と萌佳。
「じゃあ、十葵くん達も行くわよ」
扉を閉め、車が去るまで見送り続けてくれた萌佳。
「必ず、お互い無事に」
ポツリと呟くように十葵が言った。
「ここよ。申し訳ないけど、私は戦えないから離れてるわ。必ず無事に帰ってきてね!」
十葵達が頷くのを確認すると、車を走らせて安全であろう方へ去っていく。
「すごい光景やな」
「あぁ。なんていうか、道路が壊れて、電柱折れてるとか映画の中の世界だな」
翔太の言葉に弘佑が同意する。
「さて、気合い入れ直せよ。行くぞ!」
「「おう!」」
十葵の掛け声に二人が返事する。
そして、三人は能力を発動して走り出した。
すると、別空間に入ったのだろう。破壊された街の中で暴れる天使が視認できるようになる。
「居たぞ!」
弘佑が真っ先に交差点で暴れる天使を見つける。
飛びかかろうとした瞬間、自分たちの真横を高速で車がすり抜ける。
「うわ!あぶな!」
天使の斧に飛ばされた大量の車が飛んでくる。
「くそ、行くぞ!」
足に力を入れて跳躍する三人。
空高く飛び上がり、天使の足元に降り立つ。
「っしゃあ!」
弘佑が力を入れて拳を振り下ろす。
それに合わせて地面に倒れ込む天使。
「おりゃ!うら!」
天使に次々と斬撃を浴びせていく翔太。
「せぁ!」
身軽に天使の攻撃を躱しながら、巨大な鎌を召喚して攻撃する十葵。
「人間舐めんなよ!」
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