7話 朝食
次の日。
いい匂いに誘われ目を覚ます十葵。
「あ、おはよ。十葵が一番最後だよ」
萌佳が優しく笑いかけてくる。
「お、おはよ」
ベッドから体を起こして寝癖を慌てて直す十葵。
「女子が朝飯作ってくれてるで、はよ起きや」
翔太の声に視線を向けるとテーブルについた翔太と弘佑がワクワクしたように待っている。
「俺も食べる!」
勢いよくベッドから飛び出る十葵。
うがいをして席に着く。
「はい、どうぞ」
見計らったように萌佳が十葵の分を持ってきてくれる。
皿にはベーコンとスクランブルエッグ、トマトにレタス、クロワッサンが二個乗っている。
飲み物は100%オレンジジュースだ。
「おぉ……ありがたやー!あーむ!うまい!」
久しぶりに食べる健康的な朝食に大喜びの十葵達。
「なんか、ちゃんとした朝飯食うの久々やな」
「普段、どんな物食べてるの?」
「昨日の夜の残りとか、カップ麺とか」
「ちょっと、体に悪すぎー!ちゃんとバランスよく食べないとダメだよー」
風羽がプンスコと怒る真似をする。
「あんたも甘いものばっかりの癖直しなさい」
「はーい!」
萌佳が注意するが、てへ!と笑って流す風羽。
ワイワイと楽しく食事が進んでいく。
「なんかいいな。こういう生活も」
十葵がしみじみと噛み締めるように呟く。
「そうだね」
同意するように萌佳も頷く。
「ビックリするような体験をしたけど、やっぱり生きてるって素晴らしいな」
弘佑がバンザイして笑う。
「すばらしー!」
風羽もつられてバンザイ。
「ふふ、そうだね」
結依も笑う。
「せやね」
翔太も頷く。
こういう何気ないことが幸せの連続だ。
そういうことに気付かされる出来事だった。
「さて、冷めないうちに食事を……」
十葵が言葉を続けようとした瞬間。
「みんな!天使よ!」
部屋に昨日の運転手、もとい大学のカウンセリングの先生、楠楓が慌てて入ってきたことにより、事態は急変したのだった。
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