42話 堕天
「っしゃあ!行くぜ!」
弘佑が猛ダッシュでインエンを殴り飛ばす。
「ぐふぅ!ええい、消えろぉ!」
外に吹き飛ばされながら、激昴して手元に三叉の槍、トライデントを召喚し、先端から棘を放ってくるインエン。
「はあぁ!」
「ふっ!」
大剣や長槍を振って棘を撃ち落とす風羽と結依。
「行くで、十葵!」
「おう!」
同時に壁が破壊された研究室の五階から、外へ飛び出す十葵と翔太。
「みんな……」
フラフラと倒れかける楓。
「大丈夫、楓先生?」
素早く萌佳が後方から楓を支える。
「相手は『人型天使』……無茶よ」
絞り出すように楓が呟く。
「楓先生一人なら無理かもね」
「そういうことじゃなくて……」
「みんな揃ってるから」
「……え?」
「十葵が言ってた。自分達だから勝てるんだって。バカみたいでしょ?根拠も裏付けも何もない。なのに、アイツに言われると勝てるって思える」
萌佳が十葵を見る視線は信頼、それも超えた愛する者への眼差しだった。
「萌佳ちゃん……」
「だ、だから!大丈夫ってこと!」
楓の視線に気づいて恥ずかしそうに言葉を続ける萌佳。
楓はふっと笑ったあと。
「そうね。彼らなら……あなた達ならきっと大丈夫」
楓は眩しそうに十葵達を見つめていた。
「うらうらうらぁ!」
右腕に持った太刀で高速の連続斬りをぶつける翔太。
「ぐぅ!邪魔だ!」
槍の下側、石打と呼ばれる部位で翔太の攻撃を防ぐインエン。
「だらぁ!」
『風』の属性を手甲に纏わせた弘佑が、十葵を通り越して翔太とインエンに近づく。
「ぐお!」
急な攻撃で、防いだが体勢を崩したインエン。
そして、翔太と弘佑の後方では空中で十葵が左腕を空へ掲げていた。
「避けろよ、翔太、弘佑!」
腕を振り下ろし、不完全ながら時の力を放つ十葵。
「ふん!人間如きの攻撃など!」
槍を回転させて攻撃をかき消そうとするインエン。
「人間如き、その思考がテメェの敗因だ!」
十葵が叫ぶと、時の衝撃波はインエンの聖槍を砕き、彼に巨大な傷を負わせる。
「がふっ!」
モロに直撃を受けて、時の属性により、生命機能の時間を停止されて落下していくインエン。
その姿は、太陽を掴もうとして自らの身を焦がした、天使の末路だった。
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