41話 集結
「ぐ、おお……貴様らぁ!」
苦しそうに立ち上がるインエン。
「十葵くん……どうして!」
先程の磁場の痛みに耐えるように楓が声を漏らす。
「おかしいと思ったんだよ。やたら俺らを大学から遠ざけるなって」
「そうそう。十葵が急に『戻るぞ』って言った時は驚いたで」
「んで、楓先生をこっそりつけたら捨て身で人型天使を相手にしてんだからよ」
十葵の言葉に翔太と弘佑が頷く。
「けど、まさかウチの大学に侵入者が居たなんてな。それを生身の人間である楓先生が一人で対処しようなんて。やっぱり、俺らの知ってる優しい楓先生だな」
十葵が照れくさそうに笑う。
「大学内の眠った学生全員を安全な所に転移させて、俺ら自身も安全な遠くへ逃がして。んで、自分は死ぬ気って……無茶しすぎやろ」
「向こうは風羽達が相手してくれてる。こんな風にな」
弘佑がインカムの音量を最大にする。
「楓先生!帰ったら話、しっかり聞かせてもらうからね!」
「私達を甘く見すぎ」
「帰ったらお尻ペンペンだからねー!」
インカムの向こうで戦闘を終えたのであろう女性陣三人の声が聞こえる。
「みんな……私なんかに」
「楓先生。私『なんか』じゃねぇよ。楓先生の『ため』に俺らは戻ってきたんだ」
「楓先生が裏切るわけねーんだよ。いっつもニコニコして、誰よりも俺らの心配をしてくれる先生がな」
「せやせや。さて、ほんならそこで見ててや。カッコイイ男三人の」
翔太が続けようとした時。
「カッコイイ男三人?」
「『最強の六人』の間違いでしょ?」
「女を忘れてませんかにゃー!」
十葵、翔太、弘佑の隣に並ぶ、三人の女性。
「……はは、間に合ったのか」
「全力で走ったからね」
十葵を見る萌佳。
「さっすがだぜ!ナイスタイミング!」
「いえー!」
弘佑とバンザイする風羽。
「おかえり」
「ただいま」
翔太と頷き合う結依。
「みんな……ありがとう。本当に、ありがとう」
くしゃくしゃの顔で六人の背中を見つめる楓。
「ほな、全員揃った所でやったりますか!」
「ぐっ、貴様ら。天使を……人間より高位の存在を侮辱しおって!」
フラフラと立ち上がるインエン。
「悪いけど、楓先生は返してもらうから」
インエンを睨む萌佳。
「『最強の六人』を舐めんなよ!」
十葵が吠えた。
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