4話 天使
俺達が戦った化物。
あれは『天使』という名称で呼ばれているらしい。
天使、と言っても普通に想像する、神様の使いで心優しい天使とは違い、人間を襲う為にどこからともなくやって来る生命体としての名称らしい。
天使はこの世界に最も近い、別の空間に現れ、一般人はまず認識も干渉も出来ない。
しかし、たまに適性のある人間がその天使のいる空間に入ってしまうことがあるらしい。
今回の十葵達のように。
「だから、私たちはその天使から人々を守ってるってわけ」
「世界中にある不思議現象も天使が関わってることがほとんどらしいよ!」
「私たちはこの地域担当って感じかな」
女性陣三人の授業を車内で受ける十葵達。
「なるほど。俺らが知らないだけで、結構ファンタジーなことってあるんだな」
十葵が感心したように頷く。
「あんまり驚いてないのね」
「まぁ、意外と驚いてない自分がいるな」
「ふふ、変なの」
萌佳が少しだけ笑う。
その顔は見ていて惚れ惚れするほどに綺麗だった。
「あの……」
十葵が口を開いた瞬間。
「って、この車どこに向かってるん?」
翔太が割り込むように尋ねる。
「もう少しで着く。私たちの本部」
車が入ったのは、十葵たちの大学だった。
「ここって……俺らの学校……」
「え?十葵達もここの生徒!?」
萌佳が驚いたように声を出す。
「俺らもって……まさか」
萌佳達女子三人は顔を見合わせて頷く。
「私達も、ね」
大学の奥にある建物の一室。
『相談室』と書かれた部屋の中で十葵達はくつろいでいた。
「大学にこんなリッチな部屋があったなんて」
「キッチンに冷蔵庫付き」
「ベッドになるソファーまで完備とか、もうちょっとした家だな」
十葵、翔太、弘佑の三人は入ったことのなかった『相談室』に大興奮していた。
「相談室、って銘打ってるけど実際は使われていない空き部屋。それを改造して私たちの隠れ家にしてるってわけ」
萌佳が簡潔に説明してくれる。
「ほへぇ……奥にも扉があるけど?」
「あっちは、私たちの自室。言っとくけど入ったら極刑だからね」
脅すような口調で念を押してくる萌佳。
「お、おう……」
「まぁ、どっちにせよ俺らも寮に戻らないといけないし……」
「あ、その心配はいらないわよ」
ドライバーだった女性がニッコリと笑う。
「寮よりいい物件が見つかったので、そちらに引っ越します。と先程連絡を入れておきましたので」
「「はぁ!?」」
男三人の声がシンクロする。
「いやいや、俺らこれからどこで生活すんの!?」
十葵が運転をしてくれていた女性に詰め寄る。
「大丈夫ですよ。私……」
そう言って、運転手だった女性はどこから持って来たのか白衣を着る。
「カウンセリングの資格を持っていますから」
「いや、理由になってへんけど!?」
翔太が叫ぶ。
「だから、ここの部屋を使ってください」
「え……」
「これまで住んでいた寮よりは景色も、内装も、すべて好条件だと思うけど?」
「ま、マジでか……」
こうして三人は学校に内緒で、住み込みをすることになった。
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