37話 平穏
「んお!」
ビクッと驚いたように起きる十葵。
周囲は日が傾き、すでに七時手前になっていた。
「ん、この匂いは……煮付けだ!」
「正解。よくわかったねー」
後ろを見るとキッチンで料理をしている萌佳と結依の姿があった。
「はい」
「おぉ、ありがと。うま、なにこれ、うま!」
結依に小皿を渡され味見をする翔太。
「俺も味見するー」
のそのそと起き上がり萌佳に近づくと、同じように小皿を渡してくれる。
「うま、うまま!」
「ふふ、ありがと」
上機嫌で料理を再開する萌佳。
「あれ?そういや弘佑と風羽は?」
「あの二人なら食後のアイスを買いに行ってる」
結依がサラダを飾り付けしながら説明してきた。
「そっかー」
「そろそろ帰ってくるんじゃない?」
「たでーまー」
萌佳が言い終わるか言い終わらないかのタイミングで、見計らったように二人が帰ってくる。
「お、戻ってきた」
「じゃあ、食事にしようか」
こうして六人は席につき、食事を始めたのだった。
「この煮付け上手いな。何の魚?」
「カレイだよー!」
「なるほど、カレーか」
「言うと思った」
「同感」
「弘佑、読まれてるやん」
ワイワイと楽しそうに食事をする六人。
その光景は、とても『天使』などという化物と戦ってる者達と同一人物とは思えない。
それほど、幸せそうな光景であった。
「本当に……幸せそうね」
六人が食事をしている『相談室』の外では、楓が中から聞こえてくる声に耳を傾けていた。
しかし、彼女は中に入ろうとはしない。
「……私は、こちら側だから」
ポツリと呟いたあと、メガネの位置を直し、早足にその場を離れる。
そして彼女は一階へ降り、建物を出て隣の校舎に入る。
こちらの校舎は三階から上が教授達の研究室となっている。
楓は教師ではなく、カウンセリングの先生なので、授業を担当する教授達とは違う場所に部屋がある。
そして、教授達の研究室が並ぶ建物の最上階。
五階の一室のドアを楓はノックする。
「……入りたまえ」
中から暗く陰鬱そうな声が返事をする。
そして楓が扉を開けて中に入ると、そこには一人の男が立っていた。
閲覧頂きありがとうございます!
よければ
⑴ブックマーク
⑵評価
も励みになるのでよろしくお願いします!( ˙꒳˙ )
⑶感想
まで頂けると泣いて喜びます( ;꒳; )
これからもよろしくお願い致します!




