36話 案内
日曜日。
十葵は萌佳と共に大学内の探索に来ていた。
「奥の方はめったに来ないなぁ」
「運動場とかテニスコートがあるの。で、あそこからまた校舎内に入れる」
萌佳に先導されて進んでいく十葵。
ふと、前後に揺れる萌佳の手が気になる。
「よっ」
「んひゃ!」
何気なく萌佳の手を握ってみる。
「あ、悪い」
「な、なんか付いてた?」
「あ、いや。せっかく二人きりだし。手でも繋ごうかと……スマン」
離れようとした十葵の手をぎゅっと握る萌佳。
「だ、大丈夫だから。もうちょっと……このまま」
ボソボソと照れたように話す萌佳につられて、顔が赤くなる十葵。
「お、おう」
しばらく無言のまま、手を繋いで進んでいく二人。
しかし、緊張はすれども居心地の悪さは感じない。
不思議な感情を抱きながら、十葵は萌佳と歩いていった。
「おかえりー!」
十葵と萌佳を除き、楓を含めた居残り組五人はトランプで遊んでいた。
中央に同じカードが二枚ずつ山積みになっているので、おそらく『ババ抜き』だろう。
「翔太、早くジョーカー渡せよ」
翔太の後ろを通る時に十葵がポツリと呟く。
「翔太がジョーカー持ってんのか!」
翔太からカードを引く位置にいる弘佑が身構えて警戒する。
「ちょ、なんでバラすねん!?」
急に慌てた翔太がカードをシャッフルする。
「あはは、悪い悪い」
適当に手を振って、十葵はベッドにダイブする。
「いえー!」
萌佳も十葵の横に並ぶようにベッドへダイブしてくる。
「ちょ、俺のベッドだぞー」
「ふふーん、いいじゃん。十葵の匂いー」
布団に顔を埋めて息を吸う萌佳。
「ちょ、すげー恥ずかしいんだけど。臭くない?ポテトの匂いとかしない?」
焦る十葵をよそに、気持ちよさそうに寝息を立て始める萌佳。
「……まったく」
そっと萌佳の髪を撫でる十葵。
「ラブラブやなー」
「お熱いな」
翔太と弘佑が元気よく声をかけてくる。
「萌佳と十葵、らぶらぶー!」
「仲良しだね」
風羽と結依もニコニコとからかってくる。
「お前らなぁ」
口では不満を言いつつもニヤけるのが止まらない十葵であった。
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