32話 不吉
部屋に鳴り響く、スマホのアラーム。
「ふん!」
目覚まし時計の癖で、勢いよくスマホを叩く翔太。
「……あれ?今日って土曜……んー?」
間違えて土曜日にもスマホを鳴らしてしまったようだ。
隣を見ると、十葵が布団にくるまって眠っている。
「もうちょい寝よ……」
自身も布団に潜る翔太。
しかし、十葵の反対側のソファーベッドで寝てるはずの弘佑の姿はなかった。
「レッツゴー!」
「ふわあ……眠い」
大欠伸をしながら風羽に引っ張られる弘佑。
「早く早く!今日は甘い物巡りツアーだよ!」
元気よく弘佑を引っ張る風羽。
「慌てなくてもケーキは逃げないぞ」
「逃げるよー!無くなっちゃうかも!」
こうして弘佑と風羽の甘い物巡りの一日が始まったのだ。
「そっかー。弘佑は風羽と甘いもん巡りかいな。えらい旅に出てもうたな」
「あぁ、まったくだ」
食パンにジャムという簡単な朝食を食べる翔太と十葵。
「けど、弘佑もあながち嫌そうじゃなかったし、楽しんで来るだろ」
「せやね」
「んじゃ、俺らは」
「『修行』やな」
ウキウキしたのように顔を見合わせる十葵と翔太。
「おはー」
「用意、出来た?」
タイミングよく萌佳と結依も入ってくる。
「おう!こっちはいつでもオッケーだ!」
こうして弘佑と風羽を除く四人も意気揚々と出かけていった。
そして時間は戻り、金曜日の深夜。
天使達が消滅し、落ち着きを取り戻した街中で一人の男が現れる。
「……天使を堕とす『魔人』、ね。クク、実に面白いじゃあねぇか。能力を持った人間?天使より強い?最高だって事さ。さぁ、お前さんらの力をもっと……魅せてくれよ」
両手を天に広げ、空を仰ぐ陽気な男。
彼の体からは不気味に蠢く白いオーラが溢れている。
それはまるで、天へと還った仲間たちを嘆いているような。
はたまた、いつか巡り来る未知との敵に歓喜しているような。
そんな……白き闇だった。
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