3話 邂逅
そして、巨大な斧が地面に突き刺さる。
その瞬間に。
「っぶねー!」
斧が三人の体を断つことは無かった。
「ぎ、ぎりぎりやんけ!」
斧は弘佑の両腕に現れた手甲と、翔太の右手に現れた太刀によって防がれていた。
「はは……間に合ったな」
金の装飾が施された白い巨人とは対象的な、巨大で黒い大鎌を左手に握りしめた十葵が、振り下ろされた斧の上に立っている。
横断歩道を見るが女性の姿はない。
「……今はこいつか」
横断歩道から機械の巨人へと視線を向ける十葵。
「さて、デビュー戦ってか?」
「気ぃ抜いたら……轢かれるで!」
ガシャンと三人が並んで構える。
巨人は絶叫と共に、斧を振り下ろす。
「だぁら!」
弘佑の裏拳で巨人の斧を弾き飛ばす。
「はぁ!」
翔太も巨人の足に連撃を与えて転倒させる。
「らぁ!」
そして、巨人の体に飛び乗る十葵。
驚く程に体が軽い。
「これで……終わりだぁ!」
自身の持てる最大限の力を発動させて大鎌を振る十葵。
すると十葵の魔力に呼応するが如く、鎌の刃が巨人に向かって飛んでいく。
巨人の体は真っ二つに裂け、光の泡となって消滅していった。
「……はぁはぁ」
新鮮な空気を肺に送り込むように呼吸する十葵。
「ははは……やれるやん、俺ら」
フラフラしながらも生きていることを喜ぶ翔太。
「うっす!」
気合を入れるように一礼する弘佑。
「なんとか……一件落着、か。とにかくマスコミとか来る前に撤退しないとな……おっと」
大きく息を吐いてへたり込む十葵。
その前に手が差し出される。
「お疲れ様。ナイスファイトだったよ」
そこに現れたのは、十葵の命を二回も救ってくれた女性だった。
「はは……見てたなら、手伝ってくれよ」
「君達なら充分出来ると思ったから。さ、この空間が解除される前に行くよ」
少女の言葉に合わせたように周囲の何も無い空間にヒビが入り、まるでガラスが割れるような音がする。
すると、これまで自分達しかいなかった街中に、大量の人々が現れる。
「あれ?」
地面にへたり込む十葵を不審な目で見る周囲の人々。
慌てて立ち上がり、少女に案内されるままコソコソとずらかる三人。
近くの駐車場に停まっている車に案内され乗り込む。
すると二人の先客の女性、そしてドライバーの女性の三人が居た。
「お疲れ様。萌佳ちゃん」
ドライバーの女性が、十葵達と一緒に来た女性に声をかける。
「萌佳。その三人は?」
「色々あってね。仲間にした」
「え、それってまずいんじゃ……」
先客の女の子の一人が慌てる。
「だって、緊急事態だったんだし。仕方ないって」
萌佳と呼ばれた彼女は軽く笑う。
「じゃあ、新しい仲間だね!私は梅木風羽!よろしく!」
今まで黙っていたもう一人の先客が元気に挨拶してくる。
「おう、よろしく!榎弘佑だ!」
弘佑が差し出された手を握り返す。
「桃木結依です……よろしく」
「つ、椿翔太です。よろしく……」
翔太も静かな女の子と握手を交わす。
「改めて。私は桜木萌佳、よろしく」
「楸十葵、よろしく」
萌佳と握手をする十葵。
少しだけ鼓動が早くなった気がした。
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