27話 人気
午前の授業中。
「んふふ」
「どないしたん、十葵?」
「いんや、んふふふ」
「なんか気持ち悪いぞ」
昨日の夜や、朝の萌佳との出来事からニヤニヤしっぱなしの十葵。
「あれだな。パートナーがいるっていいな」
しみじみと言う十葵に、顔を見合わせて苦笑いする翔太と弘佑。
ちょうど、授業終了の時間になる。
すると。
「十葵、いるー?」
萌佳が教室のドアから顔を出す。
萌佳、風羽、結依の三人は大学内でも人気が高く、ちょっとした有名人である。
さっぱりとして竹を割ったような性格の萌佳、人懐っこく明るく元気な風羽、落ち着いて不思議な印象を持つ結依。
「桜木さん、誰か探してるの?」
「桜木さん、俺呼んでこようか?」
そのため、教室に顔を出しただけでこの注目度である。
まぁ、『有名』だけで言えば、十葵、翔太、弘佑も充分注目の的ではあるのだが。
しかし、それはカッコイイからとか、決して良い方向ではない。
悪名高い方としてである。
「十葵、呼んでくれる?」
「え、十葵?」
「一応聞くけど、なんでアイツ……?」
萌佳に群がる男達が一斉に十葵の方をチラ見する。
「もういい、見つけたから。ありがと」
スタスタと十葵達の方へ歩いてくる。
「あ、ねぇねぇ。今度の日曜暇?美味しい店見つけてさ。よかったら一緒に……」
ある意味勇者な男が堂々と萌佳の道を塞いで口説く。
「邪魔」
しかし、一蹴。
「十葵。今、暇?」
少し顔を赤くした萌佳が尋ねてくる。
「お、おう」
「昼食、行こ」
「お、ほんなら俺らも行こか」
翔太が立ち上がった瞬間。
「悪いけど、今回は別行動で」
それだけ言うと十葵の腕を掴んで引っ張っていく萌佳。
「あはは……どーもどーも」
遠慮気味に人を避けながら引っ張られていく十葵。
「アイツ、いつの間に桜木と仲良くなったんだ」
「いいなぁ」
羨ましがる男達。
「ホントにラブラブだな」
「羨ましすぎるわー」
弘佑と翔太は、十葵と萌佳が出ていった教室の扉を見ながら呟いたのだった。
閲覧頂きありがとうございます!
よければ
⑴ブックマーク
⑵評価
も励みになるのでよろしくお願いします!( ˙꒳˙ )
⑶感想
まで頂けると泣いて喜びます( ;꒳; )
これからもよろしくお願い致します!




