26話 打撃
「すごいじゃん、十葵」
「んあ?」
夜の大学内にある広場で十葵と萌佳が座っていた。
「楓先生、元気になってたよ」
「ならよかった」
「私たちじゃ、楓先生をあそこまで元気に出来なかった。十葵はすごいよ」
「俺から言わせれば、萌佳の方がすごいけどな」
「え?」
「女子三人でここまで戦い続けてさ。さらに俺らみたいなバカな意見じゃなくて、ちゃんと戦況も見極めてる。萌佳だってすげーよ」
そっと萌佳の頬に手を添える。
「十葵……」
そっと目を瞑る萌佳。
「萌佳」
二人の唇が徐々に近づいていく。
そして。
「おーい、十葵。どこやー」
「げ!」
「わ!」
慌てて離れる二人。
「お、おったおった。チータラ食べへん?」
片手でフリフリとチータラを見せてくる翔太。
「翔太ね……」
フラフラと立ち上がって翔太に近づく萌佳。
「ん?萌佳もいる?」
「いらんわ!」
思いっきり太ももを蹴り飛ばされる翔太。
「ぎゃあああああああ!」
のたうち回る翔太を冷めた目で見下ろした後、十葵の元に戻ってくる萌佳。
「……まったく」
「萌佳」
ニコッと萌佳に笑いかける十葵。
「なに?んっ!」
萌佳の唇に自身の唇を重ねる十葵。
「おやすみ」
照れたように笑って部屋の方に戻っていく十葵。
「……もう」
顔を赤くして唇を抑える萌佳。
「おぎゃあああああああ!」
「うっさい!」
月夜に翔太の絶叫が響き渡っていた。
翌朝。
「ういーっす」
「ういーっす」
挨拶して、流し台で一緒に歯を磨く十葵と萌佳。
「……なに」
「いや、やっぱ朝は髪跳ねるもんだな」
「あんまし見るな」
「おう」
うがいする十葵。
「お先ー」
「ん」
十葵を見送りうがいする萌佳。
「がしーん」
「ひゃわ!?」
急に背後から十葵に抱きつかれる萌佳。
「お、結構可愛い声出すな」
「エロオヤジか!」
じたばたする萌佳に抱きつく十葵。
「あー、寝れそうだ」
「なにそれ」
タオルで顔を拭いて、十葵を剥がす萌佳。
そして向かい合って両手を広げる。
「んお?」
「ほら。どーぞ」
「萌佳ー!」
そして十葵が抱きつこうとした瞬間。
「おっはよー!」
風羽の元気良い挨拶が響く。
と、同時に慌てた萌佳が十葵を殴り飛ばす。
「おごぁ!」
「あ!ごめん!」
「おにょ?二人とも何してるの?」
十葵の目は完全に覚めた。
閲覧頂きありがとうございます!
よければ
⑴ブックマーク
⑵評価
も励みになるのでよろしくお願いします!( ˙꒳˙ )
⑶感想
まで頂けると泣いて喜びます( ;꒳; )
これからもよろしくお願い致します!




