15話 甘美
それから。
「おかえりなさい。ずいぶん遅かったけど大丈夫だったかしら?」
楓が意味ありげな笑みとともに尋ねてくる。
「だ、大丈夫」
「全然平気」
お互い顔を合わせず部屋に戻ろうとする十葵と萌佳。
「あ、十葵」
「ん?」
リビング用の部屋を通って、自室に戻ろうとする萌佳が、一度立ち止まって十葵に振り返る。
「……また明日ね」
口パクで伝えてくる萌佳に、笑って頷く十葵。
そして、自室に入っていく萌佳。
「お盛んですな」
背後の声に振り返ると、眠っていたはずの弘佑と翔太がこちらを見ていた。
「お前ら、起きてたのかよ!?」
「十葵、ずるいぞ!抜け駆けやんけ!うらやましー!」
翔太が冗談っぽく掴みかかってくる。
「い、いや、そんなつもりじゃ!」
「んじゃ、二人の甘々イチャイチャ話でも聞かせてもらおうか」
弘佑にガッシリとホールドされる。
「ちょ、ま、待てって」
こうして男三人は寝ずに夜を明かしたのだった。
「くっそ……眠い」
「アンタ達、夜通し何してたのよ」
萌佳が呆れたように聞いてくる。
「ナニしてたのさ」
弘佑がいい声で返事をする。
「お前は黙ってろ!」
十葵が思わず叫ぶ。
「色々聞かれてたんだよ」
「色々って?」
「昨日の夜こと」
「昨日の夜……?」
考え込むような仕草をした後、意図を理解したのか顔を赤くする萌佳。
「今頃かよ!」
「うっさい!」
立ち上がって叫ぶ萌佳。
「萌佳、静かにねー」
結依が小さく笑いながら注意する。
「らぶらぶぅー!」
風羽はからかってくる。
「風羽?」
「ナンデモナイデース」
般若ような恐ろしい顔で萌佳が風羽を脅す。
「そうよ、みんな」
話を聞いていたのであろう。
楓が部屋に入ってくる。
「楓先生……」
助かった、と萌佳がホッと胸をなでおろした。
その時。
「年頃の男女なんだから。それくらいありえるわよ。それで?どこまで楽しんだの?」
「……楓先生」
全然助かっていなかった。
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