13話 告白
あれから時間は流れ、夜。
夕食を終えた十葵は、腹ごなしがてら大学を歩いていた。
「夜の大学も中々オツだな」
大学内でもデートスポットの一つとして有名な、直線状の道。
両脇にはオシャレな電灯が輝いており、ちょっとした幻想的な風景となっている。
そんな道で人影を見つける十葵。
「やべ、警備員かな」
大学に泊まり込みをする者はよく居るが、理由を聞かれた時に厄介だ。
隠れようか迷っていると、警備員ではないことに気づく。
「……萌佳?」
「あれ?十葵?」
向こうから歩いてくるのは萌佳だった。
「あぁ、スーパー行ってたのか」
「うん。アイス買いにね。この時間帯、学食は閉まってるから」
大学の坂の下には一軒のスーパーがある。
学生達には、学食の味に飽きてきた頃に重宝されているありがたいスーパーだ。
こっそり大学の入口近くにある図書館塔にお邪魔する十葵と萌佳。
この建物は、地下は喫茶店とちょっとした休憩スペース、一階がパイプオルガンのあるホールで、二階から五階が図書館となっている。
この図書館スペースは四階が映像ブースとなっていて、個人で映画などを視聴できる贅沢な場所となっている。
現在は夜の為、図書館は封鎖されているので、一階のホールでアイスを食べることにする。
階段に腰を下ろし、アイスを取り出す萌佳。
「んー、おいしー!」
カップのアイスを一口食べる萌佳。
「ん、十葵も半分食べていいよ」
「え?」
ズイ、とアイスとスプーンを渡される。
「ん?アイス嫌いだった?」
「い、いや、好きだけど……」
「じゃあ、半分食べていいよ」
これは間接キスではないのか。
思わず口からこぼれそうになったが、自分が気にしすぎかと思い切ってアイスを受け取る。
震える手で一口アイスを掬い、口に運ぶ。
「はい、間接キス」
見計らったように萌佳が笑う。
「ぶふぉ!」
「うわ、ちょ、やめてよ!」
思わず吹き出してむせる十葵。
「おま!このタイミングで!」
「あはは、アンタ手震えてるんだもん。気にしてるんだろうなーって分かるよ」
図星で顔があげられない十葵。
彼女は中々豪快のようだ。
自分がいかに小さいかを思い知らされた。
恥ずかしさで黙っていると。
「私は別に気にしないよ。気にしないって言っても、十葵だから。気にしないが正しいかな」
「そ、それって……」
男として見られていないわけですね。
さらに凹んでいると。
思いがけない言葉が、十葵の上を通った。
「私、十葵のこと好きだし」
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