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Angel fall  作者: 流水 山葵
13/43

13話 告白

 あれから時間は流れ、夜。


 夕食を終えた十葵は、腹ごなしがてら大学を歩いていた。


「夜の大学も中々オツだな」


 大学内でもデートスポットの一つとして有名な、直線状の道。


 両脇にはオシャレな電灯が輝いており、ちょっとした幻想的な風景となっている。


 そんな道で人影を見つける十葵。


「やべ、警備員かな」


 大学に泊まり込みをする者はよく居るが、理由を聞かれた時に厄介だ。


 隠れようか迷っていると、警備員ではないことに気づく。


「……萌佳?」


「あれ?十葵?」


 向こうから歩いてくるのは萌佳だった。



「あぁ、スーパー行ってたのか」


「うん。アイス買いにね。この時間帯、学食は閉まってるから」


 大学の坂の下には一軒のスーパーがある。


 学生達には、学食の味に飽きてきた頃に重宝(ちょうほう)されているありがたいスーパーだ。


 こっそり大学の入口近くにある図書館塔にお邪魔する十葵と萌佳。


 この建物は、地下は喫茶店とちょっとした休憩スペース、一階がパイプオルガンのあるホールで、二階から五階が図書館となっている。


 この図書館スペースは四階が映像ブースとなっていて、個人で映画などを視聴できる贅沢な場所となっている。


 現在は夜の為、図書館は封鎖されているので、一階のホールでアイスを食べることにする。


 階段に腰を下ろし、アイスを取り出す萌佳。


「んー、おいしー!」


 カップのアイスを一口食べる萌佳。


「ん、十葵も半分食べていいよ」


「え?」


 ズイ、とアイスとスプーンを渡される。


「ん?アイス嫌いだった?」


「い、いや、好きだけど……」


「じゃあ、半分食べていいよ」


 これは間接キスではないのか。


 思わず口からこぼれそうになったが、自分が気にしすぎかと思い切ってアイスを受け取る。


 震える手で一口アイスを(すく)い、口に運ぶ。


「はい、間接キス」


 見計らったように萌佳が笑う。


「ぶふぉ!」


「うわ、ちょ、やめてよ!」


 思わず吹き出してむせる十葵。


「おま!このタイミングで!」


「あはは、アンタ手震えてるんだもん。気にしてるんだろうなーって分かるよ」


 図星で顔があげられない十葵。


 彼女は中々豪快のようだ。


 自分がいかに小さいかを思い知らされた。


 恥ずかしさで黙っていると。


「私は別に気にしないよ。気にしないって言っても、十葵だから。気にしないが正しいかな」


「そ、それって……」


 男として見られていないわけですね。


 さらに凹んでいると。


 思いがけない言葉が、十葵の上を通った。


「私、十葵のこと好きだし」

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