11話 心配
「う、ん……」
眩しさを覚えて目を覚ます十葵。
体を起こすと、大学の『相談室』内にある自分のベッドだった。
「俺は……そっか、あそこで気絶して」
思い出すように考えていると、イスに座り十葵のベッドにうつ伏せで眠っている萌佳がいた。
「萌佳……」
とりあえず彼女が無事であることに安堵する。
「ん……十葵……」
寝言で十葵の名を呼ぶ萌佳。
「心配かけて悪かったな」
そっと萌佳の手に触れる十葵。
「う……」
目を覚ます萌佳。
「あ、起こしちゃったか。ごめん」
思わず謝る十葵。
「っ!」
が、萌佳から素早いビンタを貰ってしまう。
「いって!え?え?なんで?」
立ち上がる萌佳。
思わず身構える十葵。
しかし、次に来たのはビンタではなく、抱擁だった。
「え……?」
「無事でよかった」
十葵を抱きしめる萌佳。
「あ、その、ありがとう」
そっと萌佳の頭に手を置く十葵。
「もう無茶はしないで……」
ぎゅっと力を強める萌佳。
「それは……約束出来ないかな」
「え?」
「萌佳の為なら……無茶はする、と思う」
照れたように笑う十葵。
少し驚いた顔をした萌佳は、ちょっと怒ったような顔になり、そして照れたような表情になる。
二人が黙ったまま見つめあっていると。
「やっほー!十葵起きたー?あれ?」
勢いよく入ってきたのは風羽。
しばし、黙ったあと。
「お邪魔しましたー」
すすす、と部屋を出ていこうとする風羽。
「ちょ、ち、違うぞー!」
「これは誤解ー!」
慌てて引き止める十葵と萌佳。
「お、十葵起きたか」
「めっちゃ心配したでー」
ぞろぞろと入ってくる弘佑と翔太。
「大丈夫?」
結依も心配そうに声をかけてくる。
「みんな心配してたのよ」
扉から最後に入ってきた楓も、十葵に優しく笑いかける。
「みんな……心配してくれてありがとな」
照れたように笑う十葵。
こうして全員が無事を確認しあい、改めて喜びあったのだった。
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