10話 無我
「どうするって!」
「やるっきゃねーだろ!」
翔太と弘佑が男に突撃するが、結果は十葵と同じ。
掠る事もなく反撃され、地面に背中を強打する。
「ぐぁ!」
「クソッ!」
「やはりこの程度か。実に容易い」
優雅に手を広げる男。
背後に魔法陣が広がり、巨人の天使が召喚される。
「……せよ」
「ん?」
「萌佳を……離せって言ったんだよ!クソ野郎が!」
地面から飛び起きて、謎の男の眼前に迫る十葵。
「と……き……」
すぐ隣に苦しそうに呻く萌佳の顔がある。
「ふん、怒りで我を止めることは……」
出来ない。
簡単に十葵を弾き返す男。
しかし、左手で捕らえていた萌佳の姿もなかった。
「なっ!」
そう。
萌佳を掴んでいた左腕は、十葵の一撃で失われていた。
「……返してもらうぜ」
フラフラと地面で萌佳を抱えている十葵。
黙ったまま自身の失われた左腕を見つめる男。
歯車などの機械が剥き出しになっている。
「……ふっ、なるほど。今回は我の負けだ、認めよう」
小さく笑い、今にも倒れそうな体でこちらを睨む十葵に話しかける。
「今回は、貴様に免じて退こうではないか」
そう言って自身の前に魔法陣を展開する。
魔法陣はそのまま謎の男の方へと移動し、魔法陣と男が触れた瞬間、双方姿を消した。
いつの間にか、背後に現れていた二体の巨大な天使も居なくなっている。
「……行った、か」
「十葵……」
萌佳が十葵を見上げる。
「なんとか……なったな」
覚束無い足取りで萌佳を離す十葵。
「もう、無茶しすぎだって……」
十葵を心配するように萌佳が声をかける。
「大丈夫か、十葵」
「とりあえず結依と風羽も無事やったわ」
翔太と弘佑が結依と風羽を引き連れてやってくる。
「とにかく無事で、よか……った」
いきなり前のめりに倒れる十葵。
大慌てで萌佳が抱きとめる。
「十葵!」
意識を失いながら、遠くで萌佳が自分を呼んだ気がした。
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