表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/38

第12話 何故、そんなことを?

 永山 大輔、31歳。情シス所属、既婚者。

人付き合いも良く、普通に仕事をこないしている。

はた目には、ごくごく普通のサラリーマン―――。

だが俺は、彼を疑っている。


 彼は、おそらく異世界転生者、または異世界転生関係者だ。


 そうと疑いだしたのは一週間ほど前の事。

偶然、全くの偶然で、彼が自分の鞄に話し掛けているのを、見かけてしまった。


「おい!会社に付いて来ちゃだめだろ、まったく!」

そして鞄から覗いて見えた、もふもふとした謎の生物―――。

あれは、おそらく人語を解するタイプのマスコットキャラだ!

そんなものが、何故この世界に?

理由は一つ。

彼が何らかの主人公ポジションだということだ。


 夢見がちな者なら、『美少女宇宙人が出てくるドタバタコメディなんじゃ?』などと言うかも知れない。

だが、そんなものはアニメや漫画の話であって、ここは現実だ。

そんな子供の夢想が、現実に起こる訳もない。

だが、異世界転生なら話は別だ。

それは、現実だからだ。


 異世界からこの世界への逆転生―――そんなパターンも、中にはあるかも知れない。


もしそうなのだとしたら、社内異世界担当者として、看過はできない。

状況を正しく把握し、然るべく措置をしなければ。

もしこの世界に多大な影響を与えるタイプの転生だとしたら、最悪彼には『未完』のルートも―――。


 俺は、ひと気が無い頃合を見計らい、意を決して彼に話し掛けた。

「永山さん、貴方、転生者…または、転生者が、側にいますね?」

彼は、ゆっくりと、こちらに振り向く。

「月形君か。意味が解らないな…君は、何故、そんなことを?」

二人の間に緊張が走る。


 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


「…謎のイキモノを、見ました」

「ほお…それで?」

「…先日、モブ子Aとの、ラッキースケベも、ありましたね?」

「おいおい、そんなの、ただの『ちょっぴりえっちなラブコメ』かも、しれないじゃあないか」

彼は、ゆっくりと立ち上がる。


 ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ


「中に!浮いてる!見えない何かを操作していたッ!!」

「!!」

「アレは、ステータスを、見ていたんじゃあ、ないスかねぇ?!」

「キ、キサマッ!!」


 結論からいって、彼自身は異世界転生者ではなかった。

どうやら皆が奥さんだと思っていた人物が、実は異世界からやってきたのだという。

ある日突然、部屋に現れたのだそうだ―――ペットの謎生物を連れて。


 しかも聞けばビキニアーマーを着たポンコツ褐色エルフだとの事だ。

褐色エルフ…課長が羨ましがるだろうな。


 ポンコツ褐色エルフは人気が高いため、嫉妬を恐れてみなには黙っていたようだ。

どうも、ほのぼの日常ライフをエンジョイしているだけとの事。

危険はないと判断し、胸を撫でおろす。


「みんなには、ナイショでな?」

「わかってますよ。特に課長には」


 正直言って羨ましい。現実世界を現実通りに生きる俺には、ラッキースケベなどないのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ