3、決意表明
「ねえ、アンタってココから抜け出してしたい事ってあるの?」
あの話し合いの後、バンビは俺にそう聞いてきた。
「そりゃあ勿論、色々とあるさ」
「ほーん」
バンビは興味無さげに相槌を打つ。
「お前から聞いてきたっていうのに、つくづく失礼な奴だな」
「ちゃんと聞いてたわよ」
「そういうお前にはなんかあるのか?」
「勿論あるわよ。寧ろ無い人間なんて存在しないでしょう」
「それもそうか」
「冬は極寒、それ以外もそこそこ寒い様な場所、更に魔獣のオマケ付き。そんな場所でこんなボロ一枚だけで暮らすだなんて、人間のする生活じゃ無いわよ。
「だから私は、必ず壁内に行くわよカフカ」
「そーだな」
「それでね、もっと綺麗なところに住んで、もっと美味しい物を食べるの」
「…そうだな」
明るい未来予想を話すバンビの顔は、その楽観的な内容とは真逆に酷く真剣なものだった。
「………さっき、アンタから逃げてった子供、いたじゃない」
「ああ」
「さっき思い出したんだけどあの子のお母さんと私、知り合いだったの」
「…へえ」
「私が今よりもっと小さかった時に、良くしてもらってたわ。
「ねえ、あの男の子、まだ生きてると思う?」
「助けたいのか?俺たち二人で集められる食糧じゃあ、共倒れになるだけだぞ。壁内に入れたなら兎も角」
「…そうね、魔獣狩り頑張りましょう!」
「言われなくとも」