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異世界なめんな転生者  作者: 園内 いつか
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生誕

 生まれてすぐの事は覚えていない。ただ、ひどく眩しかったこととまるで弛緩したように自由にならない体とぼやけて見えない視界にもどかしさと止めようのない嗚咽の息苦しさだけを感じていた。

 そのくせ、意識だけは明瞭で何も出来ない体とはこんなに不便なのかと思い知らされた。

 つまり、一から人生やり直せとリセットされて放り出された訳ではなく、私は私という意識を保ったまま、再び現世に舞い戻ったということだ。

 なんだ、存外優しいところもあるじゃないかと神を見直したが、それも数日の間だけだった。

 

 退屈なのだ、どうしようもなく。

 そして赤子が事あるごとに泣いて訴える理由を思い知った。動けない体に不明瞭な視界、人の気配はすれど姿を見ることは出来ず、自分がどういう状況に置かれているのかも分からない。また、赤子である故か話している言葉さえよく聞き取れない。

 そこにあったのは孤独だった。誰とも意思の疎通が出来ないというのはこんなに寂しいものだったのか。

 死ぬ前にはだらだら寝て過ごしたいと思ったことはあったが、望んでいたのはこれじゃない。

 その時点で、私にはチートのようなものは無いだろうことを確信していた。

 よく、話の中では意識があるのだから幼子の頃から色々とやって先取りしてしまおうと画策するシーンが見られるが、既にあの時点でチート持ちでなければあり得ない現象だったのだ。

 その場になってみるとよく分かる。

 ただ、重病人のように支えられながら乳を飲み、自由にならない体を少しでも動かそうと身悶えて、それだけで、たったそれだけで、疲労困憊になり眠りに落ちる。日々それで精一杯なのだ。

 とてもじゃないが、余裕なんてものはありはしない。

 

 そんな日々を過ごしながら、やがて私は違和感を覚え始めた。

 いつまで経っても聞こえてくる言語が理解できないのだ。日本語で無いのは薄々感じていたが、それでも外国語を聞くときには何か早くてよく分からない、という風に感じることが多い。

 しかし、彼ら彼女らは一文字か二文字程度に区切った言葉をしゃべっている。

 ちょっと聞き覚えのない、強いて言うならエイリアンがピポパポと言っているな気持ち悪さがあった。

 ふと、転生する直前聞いたことを思い出す。同じ世界に二度転生させることは出来ない、と。

 その言葉の意味に戦慄しつつ、少しずつ明瞭になってきた視界に映ったのはタコ型の火星人、ではなくちゃんと人型をしていたことに安堵を覚えつつ、然程若くない女性の髪色が鮮やかな緑色をしているというシュールな光景に唖然としたのだった。

 

 

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