ホッとして
「今回、アトル君とおばあちゃんがいてくれて良かったです」
空が赤く染まってきたころ
クロがぽつりと、そんなことを言い出した。
「特におばあちゃんがいてくれて良かった」
息を吐いて穏やかに笑う。
「あんなに丸く収まることまずないです」
プロぱいが言ってたな。クロは口を開く前に殺すのが定石だと。
俺らの前ではええかっこしいなのだと。
「いつもなら殺してた?」
「はい。確実に」
「イニド姉弟は見つけた瞬間刈ってますね」
「プロパさんはそれを知ってるのでまず近づいて来なかったでしょう」
「……なんで、そんなに殺すんだ」
「一番被害が少なく手っ取り早いんです。相手との口約束なんて全く信用できないですし、裏切られるのがおちです」
「どうせ殺すんです。不安の芽はさっさと摘んでしまうに限ります」
当然のように言い捨てるクロに、鳥肌が立った。
引きまくる俺をみて、僕は決して「良い人」じゃないですよと笑う
「Ⅰ群は頭がおかしいって言ってたでしょう?例に漏れず僕も狂ってるんですよ」
そう独白するクロは、まるで自分自身を嘲笑うように目を伏せた。
「今回不安要素を残しました」
「彼女たちの魔法は厄介なので、殺さなかったことを後悔する日がきっと来きます。そうわかっているのに」
「何故でしょうね」
「今はどこか、ほっとしています」
そういって空を見上げるクロは清々しい顔をしていた。
キクが言ってた
クロは無理していると
相当
無理していると
なんか、わかった気がする
本当だ。
これは相当無理してる。
なあ、クロ
本当におかしい奴は
自分がおかしいなんて思わないんだぜ。
俺の前で正義ぶってたくせに
キクの前では刀を抜くのさえためらっていたくせに
何が狂っているだ。
お前、狂ったフリをして納得しようとしているんだろ。
そうでもしないとやっていけないのか。
やるせない気分になった俺は「そっか」とだけ返しておいた
これで「怪しい同居人」は終わりです。評価・感想おまちしてます^^




