ちんちくりん
なんじゃ、この二人いつもこんなやり取りをやっとるのか?
かっこよさげに話しているが、ただの女の熱烈アタックにつれない男のやり取りじゃ。
もっと素直になったらええのにの。
こんな会話続けてもいつまでたっても平行線じゃぞ?
まあ、本人は楽しそうなので良いか。
それにしても嫁入り前の女子が腰を冷やしたらいかんの
「わしの腹巻かしてやろう」
早速着けている腹巻を脱ぎ、寒そうな姿の女に差し出す。
わしお手製の毛糸の腹巻じゃ!
二つ折りにしたら丁度良くなるように長めに作った
女の目が点になり、クロが口をおさえてブッと吹き出す。
「……なんなの?この子」
目を白黒させながら、腹巻から遠ざかる。
クックックと笑いながら「僕の許婚です」とクロが答えた
馬鹿タレ!!!
今その話を持ち出すやつがあるか!
「は?」
ほらほら、女の顔色がかわったぞ?
こんなめんこい女子捕まえて、老婆の方がいいなんて言ったらそりゃ怒るわ。
同じ土俵に乗せられるだけで屈辱じゃろうて!
「こんな、ちんちくりんが良いっていうの?!」
ち、ちんちくりん……?
確かに今は白髪のしわくちゃじゃが、わしだって、昔はそれなりにモテとったんじゃぞ
恋文だってもらったことあるんじゃからの!
「おーおー。どうせわしゃちんちくりんじゃ
おまいさんもその内、シワシワのタレタレのちんちくりんになるんじゃぞ」
寄せる年には勝てんからの
「命短し恋せよ乙女~ってかあ」
ひょっ
女が殺意に満ちた目でこちらをにらんできた
しまった。
悪乗りしすぎたの。
つい若さに嫉妬してしまったわ
バチン
頬をひっぱたかれたわしはその衝撃で横倒しになる。
今のはわしが悪かった。
デリカシーが欠けておった
女が冷ややかな目でわしを見下ろし、あー坊に指示をだした
「殺して」




