露出狂
「あー坊?どこ行くんじゃ?」
「一緒に来てくれ」とお願いされ、言われるがまま町を歩いているのだが前で手を引くあー坊はさっきから全然こっちを見てくれないのだ。
クロ助にあそこに隠れているよう言われたんじゃけど。
町の男たちに囲まれて歩いているが、襲い掛かってくる気配はなさそうじゃ。
まあ、わしゃ何にもしてないしの……
「……クロ助大丈夫かの」
「いいから黙ってついて来いって」
誰かクロに伝言してくれる奴はおらんかのとキョロキョロしているとあー坊にグイと手を引っ張られた。
出たぞ出たぞ「黙って俺について来い」一丁前のこと言いおって。
はいはい。女は黙って付いていきますよ。
それにしてもあー坊、手首をつかむ力が強すぎて痛いぞ?
「そねな強う引っ張らんでも逃げやせんよ?」
そう言ってみるが、緩む気配はなかった。
手の痛みを堪えながらついていくと鐘塔の中へと入っていった。中には頂上の見えない螺旋階段があり、そのまま当然のように螺旋階段を登ろうとするので、震えあがった。
この長さの階段など登ったら心臓が止まってしまうわ!
「よし!わしはここで待っておこうかの!」
そう提案したが、あー坊は容赦なく引っ張っていく。「いやじゃ~むりじゃ~」と言うわしを無理やり歩かせる。
途中で何度も何度も弱音を吐いて見せたが、あー坊は恩情を与えてはくれないので、弱音が恨み言にかわる。
「死んだら枕元に立つからの~!毎晩立つからの~!!」
息が切れて恨み言すらも言えなくなってきたころ、階段の先についた。
やっと着いたあ
もう足腰がヘロヘロじゃ
開けた視界の先にはラクタムの街並みがひろがっていた。
「驚いたわ、あなた達一体クロのなんなの?」
ゼエゼエと荒い息を吐きながら声の方向を見たわしは疲れを一瞬忘れた。
驚いたのはこっちじゃ!
なんちゅう恰好をしとるんじゃ!!!
そこには女一人とそれを囲むように男数人が立っていたのだが
この女ブラとパンツしかつけておらんじゃないか!
腕と足だけはしっかりしたものを着けているが、力を入れるべきところはそこじゃなかろう!
まさか、いかがわしい事しとったのか?
こりゃあ、えらい時に来てしまった!今日は朝からこんな場面ばかりじゃ
「あー坊!見たらいけんよ!」
慌てて目をふさぐ。
「なんと教育に悪い恰好をしとるんじゃ!」
「ほら、さっさと服を着んしゃい」
目をふさがれたあー坊は、邪魔そうにわしの手をのけようとする。
何度ふさいでもムキになって外そうとしてくる。
やはり性への興味がとまらんか!
だがあー坊にはまだ早すぎる!
あー坊のためにわしも全力をもってお相手する
しばらくあー坊との攻防戦が続き、わしは敗北した。
そねな見たいんか!
「……あー坊がおかしゅうなってしもうとる」
「おかしくなったんじゃないわ。私の魅力に心を奪われてるだけ」
後ろから、自信満々の女の声が聞こえてきて、ゲンナリしながら振り返る。
「……おまいさん、露出狂かい」
若気の至りじゃのお。
隣まで近づいてきた女はわしのことは無視して「クロ、いるんでしょ?」と誰に聞いてるのかわからない調子でいった。
「いんや、クロ助はおらんの」
一緒には来んかったけえの。
わしが答えると沈黙が落ちた。
「……クロ助連れてきた方が良かったんか?」
尋ねてみたが女は明後日の方向を見たままだ。
「あらあら可愛そうに。二人ともクロに見捨てられたようよ」
よくわからないことを言い始めたので、わしは黙って見守ることにした。
よっぽどクロ助が来てないことがショックだったらしい。
「もう必要ないから、私の合図で飛んでもらおうかしら。あなたはそこから、アトルは反対側ね」
このヘロヘロの体で合図のたびに飛び跳ねろとか鬼じゃろ。
この女エアロビかなんかの先生か
それならこの格好も頷ける。最近のは派手になったものよの。
周りの男たちは皆生徒さんか。 変な想像してわるかった。
窮屈な室内でやるより見晴らしのいいところでやったほうが伸び伸びできそうじゃからの。
それにしても、年寄りにはもっと緩い体操じゃないと逆に体が壊れてしまうわ。
女にヨシヨシされたあー坊は鼻の下をのばして頷いていた。
もしかして、あー坊はこのためにわしを呼んだのか。
美人のお姉さんに頼まれて、一緒にやる人を連れて来いと言われたんじゃな。
やはり、あの格好のお姉さんにお願いされたら、たまらんか。
ああ、わしのかわいいあー坊が……
わしがショックの涙を流していると、どこからともなくクロ助が姿を現した。
すみません。知らない土地編をまとめて整理しました。
リンクがおかしくなってるかもしれません。ご迷惑をおかけします




