表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/219

おっぱい女(アトル視点)

「まさか、こんなところで会えるなんて」


 クロに腕をまわした美女は、ルージュの唇で頬にキスをおとす。

 あいさつのハグ&キスはそこまで珍しくはないが、この美女がすると卑猥に見える。


「運命 感じちゃう」



 クロの知り合いか? どういった関係だ?


「相変わらずのようですね」


 諦め顔で身を引いたクロは頬についた紅をぞんざいに拭った。




「ええ。変わらないわ」


 無粋なクロの行為を特に気にする様子もなく、クロを見る目が細くなる。


「あなたは『らしく』ないようだけど?」


「あんな雑魚に手こずってどうしたの?調子がわるいの?」


 それまでおとなしかったイニド姉弟が「雑魚って誰のことだ」と再びぎゃあぎゃあわめき始めたが、美女がチラリと視線をやるだけで静かになった。


 その二人様子だけで、この美女が只者ではないことがわかる。



「相手が口を開く前に首をはねるのが貴方の定石なのに」


 美女の長い指がクロの胸を伝う。なにか行動一つ一つがいやらしい


「私がこんなに近くに寄っても動かないなんて」



 背伸びをしてクロの耳に唇を寄せる。


「もしかして、溜まってるの?」


 お相手してあげましょうか?と小さな声で言っていたが、聞こえてる聞こえてる



「それとも……」


 クロの肩越しに俺に目を向けてきた。


 うわっこっち見んな



「その子が見てるから?」



 エロ女はそんなことを言った。


 は? 俺?



「相手が手を出す前に殺しちゃったら流石に体裁悪いものねえ」


 エロ女の指がねっとりとクロの顔の輪郭をなぞる。



「あの子の前では正義の味方のふりしたかったのよねえ。かわいい」


 クロの腕がエロ女を振り払った。

 それをフワリとかわしたエロ女は「図星だった?」とくすくす笑う


「そうそうその目よ。ゾクゾクしちゃう」


 クロの顔がどんな顔をしてたかは、背を向けてるため見えないが、それをみたエロ女は恍惚した表情を浮かべていた。

 非常に気になるが前に回って見るわけにもいかない。


「今夜、私と熱い夜を過ごさない?」

「いえ、一人で静かな夜を過ごす方がいいです」


「そう?残念」


 つれないクロの返事に、案外あっさりと手を引いたエロ女は、こんどは俺の方に近づいてきた。


 ゲッ


 エロ女は俺の前で立ち止まると、上半身だけかがめて顔をのぞき込んできた。

 ふわりと甘い香りが香る


 あまりに顔が近すぎて、俺はドギマギしながら後ずさった。


「ふうん。なかなか好い顔つきしてるじゃない」


 む、胸が。

 やばい。駄目だと思うのに視線が谷間に吸い込まれていく。



 唐突にクロの刀がおっぱい女の首筋をとらえた。


「触らないでください」



 見ると、気が付かないうちにおっぱいの手が俺の頬へと伸ばされていた。


 何か、やばいのか?


 明らかなクロの警戒の構えに、俺もおっぱいの手が触れる前に遠ざかる。



「冗談よ。じょ・う・だ・ん」


 おっぱいはクスクスと笑いながらクロの腕に絡みつく。



 ……クロはあんなにベタベタ触られているけどな。


 豊満な胸の谷間にクロの腕がはさまれている。


 べ、べつに羨ましくなんかないんだからなっ



「でも本当殺さなくてもいいの?」


 楽し気だったおっぱいは、つと真顔にかわった。

 そっとクロの耳に囁く


「今、殺しておかないと、後で後悔するかもよ?」




「……っ」

 苦々しい顔をしたが結局クロは動かなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ