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流れ弾(アトル視点)

 イノシシの糞に大興奮していたキクだが 


 今度はなにやら穴掘りをはじめたと思ったら、根っこの塊を自慢げにみせられた。


 芋でもないし、本当にただの根っこの塊だ。



 ……キクの考えはよくわからん




「……おばあちゃんは、ここが結界の外だってわかってるんですかね」


「間違いなく忘れてるだろうな」



 キクはすぐ俺たちの見えないところに行く。


 あんなに怖がりのくせに。



「ここらへんは好戦的なモンスターは出ないので大丈夫だとは、思うんですが」


 とか言いつつクロは立ち上がりキクの傍につく。



 面倒見がいいよな。



 キクはクロにまかせてがけ下で行われてる魔法対決を覗きに行く。


 一度収まったと思った爆発音がまた始まったのだ。



 今度はさっきより近くで聞こえる。


 見ると二人はちょうど崖の下に移動してやりあっていた。


 これが大したことないレベルなのか。


 爆音を聞く限り当たったら手足千切れ飛びそうなんだけど。



 ごくりと唾をのんでいると


 ふいに流れ弾がこちらへ飛んできた。


 自分に直撃はしなかったが、立ってる真下の崖に当たったらしく足場が崩れた。


「うわっ」


 なすすべなく俺の体は土砂とともに急勾配を転がり落ちる。




「……いってえ」 


 土砂にまみれながらも、なんとか生きているようだ。


 

 口に入った泥をべっべっと吐き出していると


 目の前にパンクな恰好の男女がたっていた。



 お互い反対の髪の毛を刈り上げ三色に染めており、シルバーアクセサリーをじゃらじゃらぶら下げて両手に魔法石付きのガンレットグローブをお揃いでつけていた。


 フレカとピルシカだ。


(うわっまっず)


 と一瞬焦ったが、よく考えてみれば俺はただの一般人だ。


「一般人を巻き込んでどういうつもりだ!迷惑だ!」と強気でいこうと顔をあげる。


「ああん?なにお前」とガン飛ばしながら近づいてきた二人だったが、途中で何かに気づき、顔が恐怖の色に染まっていった。

 全身をガタガタ震えさせて俺を見ている。



「?」


 いや二人の目線は俺よりすこし上の方向いている

 チラリと振り返ると、崖から落ちた俺を心配したのか、いつの間にか後ろにクロが立っていた。

 


「ひいいいいいいい!!!」

「クロピドおおおお!!!」


 クロピド?


 二人は悲鳴をあげながら滑ったり転んだりしながらものすごい勢いで逃げて行った。



 へ? そんな怖がられてんの?



 クロの顔を見上げると頭を押さえてため息をついていた。


「あー、アトル君。おばあちゃんを連れて出来るだけ僕から離れてください」



 状況がつかめずにポカンとする。


「はやく!!」


 クロの厳しい声に急かされ俺は急いでクロから離れた。


 なんとか登れそうな勾配の緩いところを探し登る。




 あと少しで登り切るといったところで耳がキーンと痛み


 

 視界が白と黒の色彩に包まれた。


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