表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/219

イニド姉弟(アトル視点)

「なんだありゃ」


 崖の下を覗くと遠くの川岸で繰り返しスパークが起きている。

 目を凝らすと、人影が二つあるのが見えた。


「あれは、イニド姉弟ですね」


 隣に立ったクロがその姿を確認した。


「フレカ=イニドとピルシカ=イニドです。一人一人だと大したこと無いんですが、二人でⅠ群です」

「大した事ないって、これでか?」


 二人が魔法を放つたび爆音が鳴り響いている。


「これくらいの魔法使いなら沢山いますよ」


 そうなのか。

 俺にとったら魔法使い自体あまりみたことないんだけど



「彼らは二人で四元素の魔法を混成させるという特技をもっているんです」



 四元素魔法とは「火・風・水・土」の四種類の魔法の事らしい。



「混成させたらどうなるんだ?」

「消滅魔法になります」


 当たれば消滅するので防御不可能、絶対回避が必要となるとのこと


「籠城戦では最強です」


 城は逃げないから、打ちたい放題で更地にされたところもあるらしい。想像するとゾッとする


「なんでそんな二人がここにいるんだ?」


 そしてなんで二人で争っているんだ?

 フレカとピルシカは敵を倒しているわけではなくお互いに魔法を放っているのだ。


「そこまではわからないですね」


 そりゃそうか


「巻き込まれたくないので、放っておきましょう」




 そういって草むらに広げられた敷物の上に腰をおろした。自分もそれに続く。

 キクが籠の中からお弁当を取り出していく。


 最近のキクは米の鬼だ。米をもらって以来一切パンを焼かなくなった。


 俺としてはまたパンが食べたいのだが。

 あのパンの焼くにおいで目が覚める幸せな朝が恋しい


 そんなことを思いながらご飯を三角ににぎったおむすびを手にしてパクリと食べる。


「お」


 美味い。優しい塩味がきいていて食欲が増す。

 いつも食べているただのご飯なのに塩で握ってあるだけで何個も食べれる。


 まあ、ご飯も美味いから構わないんだけどな。

 キクの料理にはハズレがない。キクの手にかかればなんでも美味しいものにかわる。


 器用だよなあとリンゴの皮をむくキクの細くて白い手を眺める。

 出来上がったリンゴウサギを持ってにっこり笑う姿、最高。


 頼むからサバイバルナイフを眺めながらうっとりするな。


「どこかでお祭りでもやっとるのかの」


 キクは次のウサギをつくりながらそうもらした。


 実際は魔法を打ち合っている音なのだが。



 これが、太鼓の音に聞こえるのか。


 キクは、今日も元気に正常運転のようだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ