手料理
「へーこれが米か。初めて食べるな」
そういいながらご飯を頬張ったあー坊は、うまいなともぐもぐと食べる。
みそ汁も茶色いモヤモヤに最初抵抗を示していたが一口飲んだら、意外といけるじゃんと感想を漏らして食べ進めていた。
そんなあー坊を見ながら、味噌を仕入れてきたクロもみそ汁に口をつけた。
そして、目を丸くする。
「なんだこれ、全然違う」
そういって、一気に飲み干し空のお椀を差し出してきた
「おかわりお願いします」
涙をぬぐったわしは「ええよ」と鼻声で返事をし、おかわりを注いであげる
「どうしたんかね?」
「僕の知ってるみそ汁の味と全然違ってまして」
受け取ったみそ汁をまた啜っては不思議そうに首をかしげていた。
「味噌汁は家庭によって味が違うからの」
「でも、同じ味噌使っているのに」
「そりゃあ、出汁が違うと味も変わってくるもんじゃよ」
「出汁?」
「なんじゃ、クロは出汁を知らんのか」
そういえば、ここらへんでは出汁をとる文化がないんじゃったな。
「出汁というのはな、乾燥させた魚や昆布、キノコの旨味を水に抽出させてつくるんじゃ。ただの水で作る料理と、うまみがたっぷり入った出汁で作る料理では全然美味しさが違ってくるぞ」
「あの魚のミイラ、そんな風に使うのか」
あー坊は目から鱗を落としていた。
「そうですか、出汁……」
「でどうじゃった?」
「こっちの方が、はるかに美味しいです」
「そうじゃろそうじゃろ」
肉じゃがも
「これも全然味が違う。こんなに味に差がでるのか」
とブツブツ言いながら食べていた。
自炊してみて初めて母親の手料理のおいしさが分かった男の子のようじゃの。
その日限りの男の手料理が、毎日子供のために作り続ける母親の技にかなうわけなかろ。
熟練度が圧倒的に違うからの。
「どうじゃすごいじゃろ?」とエヘンと胸を張る
「すごいですね」
クロ助の素直な賞賛の声にわしは気をよくする。
「他に何か、食べてみたいものはあるか?」
「唐揚げ作ってください」
クロ助は唐揚げが好きか。
まあ男は大体唐揚げが好きよの
「ああ、ええよ。明日の夜は唐揚げにしようかの」




