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番外編 キクと刀 4

 言いやがった!

 俺はごくりと息を飲む



 空気が一気に沈んだ



 クロの言葉を聞いたキクが凍り付き、その様子を見たクロはそっとつかんでいたキクの腕を放し目を伏せた。


 それから再び息を吐く。



 キクが怯えてしまうのは当然のことだ。

 クロも覚悟の上の暴露だろう。



 沈黙が落ちた



 動きが止まっていたキクの右手が上がり、顔の横へと持っていかれる。


 そして……


「あ?」


 場違いなキクの間の抜けた声に、思わずズッコケる。


 眉間にしわを寄せたキクは耳に手を添えて、聞き取れなかったと主張している。


 マジか。

 こんな重い空気の中、そんなボケをかませるのか。




「聞こえてましたよね?絶っっ対聞こえてましたよね?難聴のふりやめてください」


 クロが突っ込むが、もう先ほどの重い空気は霧散したあとだ



 でた、キクお得意の耳が遠いふり。


 キクは都合が悪くなると、難聴のふり、老眼のふりそして寝たふりで誤魔化そうとする。

 一度たりとも誤魔化せたことはないのだが、本人は何故か万能だと思い込んでいる。


「人参?」


「違います。人間です。ニンゲン」



 再び沈黙がおちた。



 だが先ほどのような重たい空気はない。

 キクがちゃんと正しく理解できたかの方が心配だった。


「なんてことをしたんじゃ!!」


 テーブルをバンッと叩き、クロを睨む。


 ちゃんと正しく理解したようだ。これでやっと次へ進める。


 キクの至極真っ当な反応に

 目を細め他所を向いたクロは痛みを知らぬ顔で聞き流している。


 テーブルをバンバン叩きながら、キクの説教は続く。


「なんでそんなもん斬ったんじゃ!」


 いや「そんなもん」ってアンタ……。


 先ほどまで馬耳東風の体でいたクロも叱られる内容が予想と違ってたのだろう。目を点にしてキクを見ている。


「……スミマセン」


 キクの怒り様にとりあえず謝るクロ。


「まったく勿体無いことをしおってから」


 腰に手を当てたキクはプンプン怒っていた。



 プンプン怒るキクを前に、クロはさっきの反応とは打って変わって申し訳なさそうに身を縮めていた。





 二人のやり取りを見ていたら頭がいたくなる。


 いや、違うだろ


「怒るとこ、そこじゃねえ……」


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