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月極契約

「この男は……」


 確認するよう目を向けたわしを見てあー坊は頷いた。


「ああ、ばあちゃんの鞄ひったくって行った奴だな」

「なんでここにおるんじゃ?」


 なんか気味が悪いの。


「それは知らねえけど」


「ただ、コイツ」とあー坊の声が低くなった


「半端なく強い」



 妖怪はこの男が全部やっつけたらしい。


「一瞬だった。いつ剣を抜いたのかもわからない内に全て終わってた」


 そういって拳を握り汗を流すアトルの姿から男への畏怖を感じとれた。

 相当すごかったらしい。


 その後、わしの怪我も治療し、結界を張り直したところで

「えむぴいぎれです」と謎の言葉を残しぶっ倒れたとのこと。



 なんだかよくわからない話ばかりなのだが、落ち着いて話をすすめようか。


 まずはわしの怪我の話

 あー坊が言うには、どうやらわしは妖怪に背中をひっかかれたらしい。


「ものすごい血がでて、もうだめかと思った」


 またまた大げさな。


 全然どこも怪我しとらんじゃないか。

 若干背中が痒いくらいじゃ。

 背中なので自分ではよく見ることが出来ないが、ひっかき傷くらいはあるのかもしれんの。


 この男が薬を塗るなりしてくれたのだろう。



 そして結界の話

 今回のこの騒動は、結界が切れたことが原因らしい。


「なんで切れてしもうたんじゃ?」

「なんか結界張ってた奴が亡くなったから、時間差で切れたって言ってたけど」



 なんと! 結界は月極契約だったか!


 それは知らんかった。

 確かにわしはここに住んで以来契約更新などした覚えはない。

 今までは、以前の持ち主の契約の惰性でもっていたのか


 なるほどそれは切れても仕方ない。

 知っておったら忘れず契約手続きしておったのに。


「それで、この男が代わりに結界張る手続きをしてくれたってことかの」

「手続きしたかは知らねえけど……」


「ただまあ、倒れる前に『結界を張りなおした』とは言ってたよ」


 それは、ありがたいの


「あとは、『えむぴい』じゃったな。そりゃなんじゃ?」


「それは謎だ」


「もしかして何かのポイントのことかの?」

「ポイント?」


 結界会社にもポイントがたまるサービスがあるのかもしれんの。

 それなら子供のあー坊が知らなくても無理はない。


「最近はなんでもかんでもポイントカードにしたがるしの」


 ポイントがたまるとお得らしいが、わしはポイントではなくカードの方がたまっていく。

 おかげで財布がポイントカードでパンパンじゃ。

 お金が取り出しにくくて本当に困る。


「納得してるところ悪い。前から言おうと思ってたんだけど」とあー坊が眉間を押さえる。

「俺さ、ばあちゃんの言う事が結構な頻度でわからなくなるんだけど」



 わしとアトルが話を詰めていると男の「うっ」という声が聞こえてきて、わしらは口を閉じた。


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