プロプラノ
「おい、プラプラ」
「プロプラノだ」
名前を呼ばれて振り返ると顔見知りの行商人がいた。
「お前が依頼を引き受けるなんて珍しいな」
「ま、たまには動かないと勘が鈍るしな」
うっせえなあ。生活費が底をつきそうなんだよ
Ⅱ群指定の依頼は報酬金額は高いのだが数も少ないし、内容も厄介なものが多い。
その中で今回の仕事内容は比較的楽な部類であったのだ。
依頼のランクを落としてチマチマ稼ぐこともできるが面倒くさい。
引き受けたのは商隊の護衛の仕事だ。
俺のようなⅡ群を雇う目的は、経験を活かしていざとなった時に指揮をとらせるためだ。
とはいうが実際、特殊モンスターとの遭遇などほとんどない。
たまに現れる雑魚モンスターを倒せばいいのだ。
この規模の商隊だと護衛もそれなりの人数が集められているため、大体近くにいるメンバーで処理される。
つまり、ほぼ出番が来ないまま報酬がガッポリ入ってくる。
遠出になってしまうのは痛いが、その分報酬もはずむし、道中適当に女引っ掛けてせいぜい楽しもうといったところだ
運よく旅芸人の一座が一団の中におり、美人な踊り子が揃っている。
とまあ気楽に考えていたのだが、さっそく呼び出しをくらう。
前列でモンスターが現れ、近くの護衛の奴等だけでは手に負えてないらしい。
ちっ面倒くさい
などと思いながら駆け付けて見れば、なんてことない普通のモンスターだった。
護衛の奴等が取り囲んでいるが完全に腰がひけている。
なんだコイツ等ド素人か!
「下がれ!」
俺が叫ぶと同時くらいにモンスターの首がとんだ。
皆があっけにとられている中、静かに剣を納める黒髪の男。
「おおおお!」
まずピモの旦那が歓喜の声を上げた。
「ありがとうございます!!助かりました!」
黒髪に駆け寄り手を握る。
「いえ、これくらい。お安い御用です」
「流石、Ⅰ群は違いますなあ」
「それに比べ他の奴等のなさけないこと!」と俺達の方を見ながら鼻を鳴らされてしまう。今回の敵に関して言えばⅢ群以上なら誰でも倒せるんだがな。
それにしてもⅠ群だと?
Ⅰ群で剣士と言えば
クロピド=グレルか!
魔法のオマケで剣を使う奴はいるが黒髪黒服という容姿からしてまず間違いない
なるほど、道理でVIP待遇なわけだ。
据え膳上げ膳でずいぶん大切に扱われているものだから、どこぞのお嬢ちゃんかお坊ちゃんかと思っていたところだ。それにしても隊商に加わるとは珍しいと思ったが、そういうことか。
今の戦闘で気が付いたが護衛の奴等全員Ⅳ群の集まりだ。
普通、護衛にはⅢ群を雇う。
確実な実力が欲しいし途中で逃げ出されたら困るからだ。
これは護衛費を大幅カットされているぞ。人数だけ揃えただけのようだ
この男、Ⅰ群同行をみこしてのことだろう。
ドケチ商人が!
「怖かったあ」
「お強いんですね」
「恰好よかったです!」
ピモの旦那に続き踊り子ちゃんたちがここぞとばかりに駆け寄る
出発当初から超イケメンがいると密かな噂にはなっていたが、お子様二人連れのため話しかけづらい状況だったのだ。今回、やっと話しかける機会ができ浮かれ切っている。
蓋をあけてみればⅠ群という超エリート
踊り子ちゃん達のテンションはMAXだ。
なんとかお近づきになろうと躍起になっていた。
これはもはや他の男のことなどミジンコ程度にしか見えていないだろう。
踊り子ちゃんとのいちゃこらを楽しみにしていた俺はため息をついた。
俺だって、昔は部隊を率いていたんだぞ。
女も次から次へと寄って来てだな。ブイブイ言わせていた
それがプーになってからというもの、誰も近づいて来なくなった。なんて世知辛い世の中だ。
せめてもう少し早く駆け付けていれば俺のカッコいいところ見せれたかもしれない
そう思うと惜しいことをした。
馬車に戻ろうとする男を、踊り子ちゃんたちが体をはって引き止めている。
「子供は子供同士、大人は大人同士楽しみましょうよ」
そう言えばあの二人は一体なんなんだろうな。護衛対象か何かか?
両手に腰に背中にと露出の高い女達にしがみ付かれたモテ男は、困惑顔だ。
「すみませんが、許嫁が待っているんで」
周囲の男たちの嫉妬を買う中、驚くべき言葉が飛び出した。
は?許嫁?
あの馬車にはお子様二人しか乗っていないはずだが。
その中には確かに女の子はいたようではあるが……
マジか!超ロリ!!
男の爆弾発言を聞いて踊り子ちゃん達が静かに退いて行った。
その様子をみたロリコンは、満足げな表情を浮かべながら馬車へと戻っていった。
ずっと放置気味ですみません。ご迷惑をおかけしております。
本日というか昨日仕事納めでした。これから年賀状に大掃除とあるんですが
手始めにPCの大掃除をしてみました(笑)少し軽くなって久々の執筆です
ブラックアウトすることなく無事投稿。
本当は年賀状をプリントするためだったのだけれど
続けて更新出来たらいいな。




