待つ
そうだ。
クロは、魔力がきれるとぶっ倒れるんだった。
キクを助けるために、治癒魔法を長時間使っていたんだ。
魔力が枯渇すること覚悟で。
そんなクロが本調子のはずがない。
クロはぶっ倒れそうな状態で、キクを抱えて火事の中を走り抜けて、魔法石付き人間と戦っていたんだ。
超人のように思ってたけど、クロも人間だ。
どんなに強くても無理を続けたら倒れる。当たり前だ。
俺は無責任に無理を強いていた。
クロが手配してくれた宿についた俺は、キクが眠るベッドの横で頭をかかえる。
クロが捕まった。
あの集団はなんだ。一体どこに連れて行かれたんだ
大丈夫だよな?殺されてないよな?
考えたくはないが、クロは常に命を狙われている。
でも、殺す気ならあの場で殺していたはずだ。
まだ生きている可能性は高い。
手遅れになるまえに早く助けに行かないと。
しかし助けに行きたくても、相手が何者か、どこに行けばいいのか分からない。
あの時、すぐ引き返しクロを浚った奴等の痕跡をさがすべきだったか。
いや今からでも遅くない、戻って手掛かりを探しに行くべきだ。
そう勢いづいてみてはみるが、キクを一人放置するわけにもいかない。
キクはあれからずっと死んだように眠っている。
手を握ってみても、呼びかけて見みても目覚める気配はない。
意識は戻るよな?
一生このままってことはないよな?
キクの事は心配だ。
俺が離れる事によってキクに何かあったらクロに顔向けできない。
じゃあ、クロの方はどうすればいい?
殺されるのを見て見ぬふりできるほど軽い存在ではない。
俺の恩人だ。借りがたくさんある。少しでも返したい。力になりたい。
だが、クロを捕まえるような相手に自分が敵うとも思えない。
結局俺は、信じて待つしか出来ない。
俺は役立たずな自分に歯がゆさを感じながら一人不安な夜を過ごした。
長くなったので分割。明日またUPします。




