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おばあちゃんが異世界に飛ばされたようです  作者: いそきのりん
大切なもの(アトル中心)
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コデイン

 フェナントレンは以前、現皇帝の弟君であるシン皇子が治めていた。


 人柄も良く民衆の声に耳を傾けてくれるシン皇子の人気は高く、次期皇帝に推す者は多かった。

 しかし、ある日突然シン皇子は帰らぬ人となった。


「フル皇子の仕業に違いない」そう口に出した者は全て処刑されたため、今や誰も口にはださないが誰もがそう思っている。

 どんなに力のある賊だとしても、護衛に守られた皇族一行をわざわざ襲いはしないだろう。

 こうして、フェナントレンはシン皇子を失った。


 今は私、コデインが領主を務めている。




 シン皇子の死後、フェナントレンは荒れた。

 後任として何人もの貴族が領主の地についたが、シン皇子派の反発が激しく長くは続かなかった。


 最終的に自分が領主としてつくことになったのだが、私に特に輝かしい実績があったわけではない。

 むしろ、自分より前に就いてた者達の方が優秀と評判だった。


 自分が選ばれたのは、投げやりになった結果といえる。


 こんな巨大な領地を任されて幸運か?

 とんでもない。ハッキリ言ってハズレくじである。


 自分の前に就いた奴は、シン皇子派の手にかかり命を落としている。

 着任当初自分も二の舞になるのではないかとビクビクしていた。


 だが、自分が就く時にはほぼシン皇子派の粛清は終わっており平和なものだった。


 領民を刺激するのが怖くて何もしなかったのが良かったのかもしれない。

 そもそも自分には新しいことを自ら始めるほどの知力も度胸もないのだが。



 奴隷市の開催は皇子の提案だった。


 今のこのフェナントレンのほとんどが皇子の指示の元、作り上げたものだ。

 奴隷市で儲け、奴隷を使うことで街全体の生産性を伸ばし、そのお陰で利潤もよく実においしい思いをさせてもらっていた。

 突然大金を手にした成金達はより自分を良く見せようと競い合い、湯水のように金を使ってくれるので金の回りも良い。


 領民は特段自分達に被害があるわけでもないため、命を懸けてまで反発してくる者もいなかった。

 最初は嫌悪感を見せていた者達も利益が上がるのを見て何も言わなくなった。


 懐が潤ったお返しとして自分がしたことは皇子の「遊び場」を提供することだった


 それがあの「離れ」である。

 皇子の希望する拷問器具と奴隷を準備し場所を提供する。

 あとは皇子が遊んだ後の後処理だ。


 ああいった趣味は自分にはないが、特に気にもならなかった。

 奴隷は家畜と同じだ。

 どうなろうが知った事ではない。


 ついでと思い、他の貴族にも声をかけてみたら想像以上に希望者が多かった。

 貴族というのは娯楽のための金を惜しまない。


 とにかく自分は懐が温まればいいのだ。


 笑いが止まらなかった。



 そんな愉快な毎日が続いたある日、気が付いたら自分は炎にまかれていた。


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