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もんすたの襲撃

 駆けつけた時には既に時遅しハロタンは二頭とも息絶えていた。

 そしてその内臓を貪り食う黒い影。


 三つの目に二つの尻尾オオカミのような形をした化け物


 それは以前襲われたもんすたという妖怪だった。それが三匹もいる。

 ハロタンを食べるのに夢中でまだこちらに気づいていない。


 わしらは寒慄した。


 立ちすくむわしらの後ろからもグルグルと獣の低い音が聞こえて真っ青になる。

 四匹目のもんすたが迫ってきていた。


 しかも一匹どころの話じゃない。次から次へと現れ四方を囲まれる。


 咄嗟にわしの腕をつかんだアトルが家の中へと駆ける。


 一匹飛び掛かって来たがなんとかかわすことが出来た。


 家の中に入るや否や、バンッとあー坊が玄関を閉め、すぐさまわしが閂をはめる。

 扉が物凄い音を立てて揺れたが、丈夫にできているようで何とか堪えれていた。


 これで、とりあえずは時間が稼げる。


「なんで、モンスターがここまで来ているんだよ!」


 あー坊が真っ青になりながら叫ぶ。

 一匹だけでも手も足もでなかったのに、この数はとてもじゃないが絶望的だ。


「結界はどうなったんじゃ」


 結界がある限りこの家は絶対大丈夫だと思っていたのに、それがこうも簡単に覆された。


 これからどうすればいい?


 どこかに隠れてやり過ごすか


 だが、一体どこに隠れればいい?



 わしがパニックに陥っているとき、ふいに扉にぶつかる音がやんだ。


「……音がやんだ」



 まさかとは思うが、あきらめたんじゃろか?



 次の瞬間、窓ガラスが盛大に砕け散る音がなり響いた。



 そうじゃ、ドアは頑丈でも窓は脆いんじゃった!

 次から次へとなだれ込んでくる妖怪を見てわしらは二階へと逃げた。


 階段を駆け上がり、適当な部屋に入り鍵を閉める。

 

 直後にドンッとゆがむほどの衝撃がドアにかかった。

 

 がりがりとドアをひっかく音と体当たりの音が響き渡る。

 そのたびにドアが歪んでいく


 玄関の扉と違い、こんな薄っぺらいドアでは防げない

 ベッドをドアの前まで持ってきたりはしてみたが、おそらく全く意味をなさない。


 ドア板より先に蝶番が音を上げた。斜めにぶら下がったドアの隙間から獰猛な口が入り、ドアをかみ砕いていく。

 成すすべもなく、ドアが壊されていく様子を呆然と見つめるしかなかった


 部屋の隅へと追い詰められる。

 あー坊が形見の剣を構えてわしをかばうように立っている。

 まさかこんなことになるとは思わず槍は車に置きっぱなしだった。


 剣を構えたあー坊を警戒してか、オオカミの妖怪はこちらの様子を窺いながらうろうろと飛び掛かる瞬間を図っていた。


 ふと視界に入った窓の外

 

 屋根の上から、こちらを狙っている奴がいた。


 あー坊は正面のオオカミしか見えていない。


 外のオオカミは好機とみて飛び掛かって来た。


「あー坊!」



 窓ガラスが割れる音と同時に必死で飛び出しあー坊を、押しのけた。



 直後背中に熱線をあびる。


 逆らえないほどの虚脱感に襲われ、わしの意識は速やかに闇へと落ちていった。


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