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おばあちゃんが異世界に飛ばされたようです  作者: いそきのりん
大切なもの(アトル中心)
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フラグ

 あの後売り言葉に買い言葉となり俺達は反乱鎮圧に参加することになった。

 

 正直なんでここにいるのかわからない。


 ただ、あそこまで言われて引き下がれるはずがない。腰抜けのレッテルを張られたくはない。


 そして今、右も左もわからない状態の俺達は、なんとなく傭兵が集まっているところに行き、なんとなく混ざってそこにいる


 俺達の致命的な失敗はここだ。

 雰囲気にのまれて情報収集を全くしなかったのだ。

 ここまできて戻れるとは思えないしもう行くしかない状態ではあったが

 味方の数も敵の数もここら一帯の地理も全く知らなかった。


 後で聞かされて捨て駒としか思えない扱いに青くなった。



「目標は隊長クラスを倒すこと」

「最高なのはⅠ群をたおすことだな」

「Ⅰ群を倒したらそれだけで一躍有名人だ。Ⅰ群昇格も夢じゃない」

「大丈夫、Ⅰ群と言っても生身の人間。この数で挑めば手も足もでないだろうよ」

「戦の中で才能を発掘され一気にⅠ群へとのし上がったやつだっている」

「倒さなくても追い詰めるだけでも十分なれる」

「そんな無理してⅠ群狙わずとも手柄を立てるだけでも士官入り出来きる」

「最悪何もできなくても大金が手に入る」

「こんなに美味しい話はない」


 景気のいい話が次から次へと耳に入ってくる。

 周囲の士気が高まっているのにつられて自分の体が高ぶるのを感じていた。


 やってやる。やってやるぞ


 後で知ったが、あそこには俺達が余計なことに気が向かないようにサクラが混ぜてあるそうだ。

 大抵の者はのまれて後戻りできなくなるらしい。


 俺も例外ではなく完全にのまれてのぼせ上がっていた。


 自分はⅠ群のすごさをこの目で見て十分知っていたはずなのに。

 そして頭のおかしい連中だということも。


 俺達が束になってかかってもクロに勝てるわけがない。

 消滅魔法が飛んで来たら、避けれずただ蒸発するだけだ。

 なのに倒せる気でいたのだ。


 いや、倒せる気でいたというより、自分達が「死ぬ」という想像が出来ていなかったのだ。





 ◆





 アム兄、ベラ、ニフェと一緒に敵陣へと向けてなるべく森を進む。


 ジルはプロスタンだから後方支援を命じられた。神聖魔法を使える奴は俺達とは別枠として扱われる。

 所謂、救護係だ。



 傭兵部隊は自由行動が認められている。どんな手を使ってもいいから頭を取ってこいということだ。

 そう言われても結局皆同じ行動となる。

 策を講じようにも全く情報が入って来ないのだ。

 ただ周りの流れにのって進むしかない。

 一応敵は森を抜けた先におり、俺達は森で身を隠しながら敵陣に近付きこれを叩くのだろうという話。


 最悪なことに雨が降って来た。森のぬかるみの中、びしょ濡れになりながら進んでいると「こんな時言うのもどうかと思ったんだけど」と手持無沙汰だったのかアム兄が話しかけてきた。

「これが終わったら俺とベラと結婚しようと思うんだ」

「ええっ!!」

 思わず上げた俺の声に周りの奴等が迷惑そうな顔をむけてきた。


 ニフェが「ねーびっくりするよねー」と笑う。


 俺は声のトーンを落とし「おめでとう!」と祝福の言葉をおくった。

「このタイミングで言うことないでしょ!」

 場違いなアム兄の告白にベラが真っ赤になりながら抗議の声をあげた。

「いいんだよ。願掛けだよ願掛け」


「ジル兄にはもう話したのか」


「ああ、一番にな」といって渋い顔をした。

「どうしたんだ?」

「想像つくでしょう」

 ベラの顔もムスッとしていた。

 あーからかわれたんだな。ジル兄のニヤニヤ顔が浮かぶ。


「それで、アトルにお願いがあるんだけど」

「キクちゃんに結婚式の料理をつくってもらいたいんだ」

「それいい!私の結婚式も作って欲しい」

「ニフェ予定があるの?!」

「ない!」

「そういうのは相手をみ


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