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おばあちゃんが異世界に飛ばされたようです  作者: いそきのりん
大切なもの(アトル中心)
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しつこい(アムロ視点)


 アトルの提案にジルが手を上げる

「やっぱ、使えなかったわ」


「囮決定な」

 即逃げようとしたジルの襟首をつかむ。


「バリアは疲れるから、長時間は無理なんだよー」

「すぐ済むから大丈夫だ」

「それに、ほかの魔法使ったら照明が消えちゃうよ真っ暗になっちゃうよ?」

「私が代わりに火をともすわ!」

「よし、問題解決。行くぞ」


「えーーーー」

 不満を漏らすジルを置いてきぼりに作戦は開始された。


「俺が行く!アトルは二人の護衛たのんだ!」

「わかった」


 アトルのいい返事を聞きながら笑う。

 先輩を囮に使おうとするとかコイツ容赦ない。


 照明が光から炎の光へと切り替わった。

 渋々ながらジルが中央にフラフラ歩いて行く

「あー鎧百足(ペチジン)さん俺囮だからねー。食いついたら馬鹿にされちゃうかんねー」


 馬鹿なムカデは狙い通りジルへと突進していった。

 ジルを頭部から丸かじりしようと大口を開けたが見えない壁に阻まれていた。

 だが勢いは殺せなかったらしく、後方へと引きずられる。


 これは駄目だ。全然止まってない!

 それどころかこのままだとジルが壁に叩きつけられる!



 とっさにアトルがジルと壁との間に入りクッションになっていた。

 ジルの体は壁に固定され、大量の足の行進は止まった。


「アトルっち!助かった!」


 後方にバリアはなかったらしい。

 鎧百足(ペチジン)が一生懸命目の前の獲物を食べようと口をガジガジする


「こわっ!めっちゃこわっ!!」

 目の前で鋭い顎が開いたり閉じたりするのを見てジルが悲鳴を上げる。


「いまだ!!」

 ジルを食べるのに夢中になった鎧百足(ペチジン)の体の動きが止まり、真ん中あたりの背中に飛び乗り顕わになった胴節にむかって剣を振り下ろす。背板の堅さ考慮し渾身の力を入れたら、想像以上に軽く体に突き刺さった。そのまま勢いあまって体を貫通し地面に縫い付けるのに成功した。


「どうだっ」


 剣を置き去りにし背中から飛退いた。

 ムカデは大暴れした。剣から逃れようとめちゃくちゃに体を振り回す。

 暴れて暴れてついに体が二つに引きちぎれ、動かなくなった。


「馬鹿め」


 最後は自滅か。一時はどうなるかとおもったが案外あっけない最後だった。


「やったわ!倒した!」


 囮役をやらされたジルが「ふいいい」と息を吐いた。バリアから光魔法に切り替え立ち上がる。


「あー死ぬかとおもったわー」

「ナイス囮!」

「回復役ってさー手厚く護衛されるものなのにまさかの囮……」

 ブツブツ文句を並べるジルとハイタッチをし「ナイスサポート!」とアトルの頭をグシャリとなでる


 ベラとニフェにも声をかけようとした瞬間、死んだと思われた鎧百足(ペチジン)がうごきだした。

 尻尾部分を置きざりに頭部分がウゾウゾ向かってくる。


 再び緊張がはしった。


「しつこーい!」


 ニフェが後退しながら矢を射る。狙ったか、たまたまかはわからないが、見事目に突き刺さった。目は堅くなかったようだ。


 痛みでのけぞったムカデの腹をベラの炎が襲う。照明の炎をそのまま転用したようで随分発動が早かった。


 背中と違い、腹の方は弱かったらしい。炎に焼かれのたうちまわっていた。


「やった!」


 ベラが歓喜していたが、ムカデは半分にちぎれ火にまかれてもまだ動いていた。


「いいかげんっ!くたばれっ!!」


 俺が剣を取り戻す前にアトルが動いた。

 瀕死の鎧百足(ペチジン)にアトルの剣が突き刺さる。見事に胴節を貫いていた。

 

 アトルの剣は魔法石付きだ。攻撃が当たれば勝手に炎が付加でついてくる。

 最近アトルはその付加の炎を自分の意思で付けたり付けなかったりが出来るようになっていた。付加の炎がムカデの内部までをも焼く。


 魔法石付きってのは本当便利でいいな。俺には高くて手が届かないけど。


 炎がおさまった後鎧百足(ペチジン)は全く動かなくなった。

 今度こそ、本当にくたばったようだ


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