まいったか(アムロ視点)
もう、こうなったら強硬手段だ。
朝アトルを迎えに行った皆の後をそっとつける。
久しぶりのキクちゃん家だ。相変わらず畑には作物がたわわに実っている。ああ、のどかだ。
久しぶりに見るキクちゃんはあいかわらず可愛かった。
皆に気づかれないようにジル達の後ろに静かに加わる。
「!」
すぐ俺に気が付いたキクちゃんは、銀髪を翻し奥へと逃げて行ってしまった。
あっ!
追いかけようとするがニフェとベラに取り押さえられる
「こら、アム兄!」
「ちょっと!何ついてきてるのよ」
ああ、もう邪魔するなよ。俺はなんとか彼女と和解したいんだ。
入り口で揉めているとキクちゃんがほうきを持って現れた。
「よくわしの前にその面をだせたものじゃの」
青筋を立てて俺に近付いてくる。
「キクちゃん、待って!話せばわかる」
「問答無用じゃ!!」
箒をふりあげ襲い掛かってきた。
「ひいっ」
慌てて逃げる俺を箒をブンブン振り回しながら追いかけてくる。
「自分で着せておいて、なあにが『気持ち悪くて脱がせたかった』か!馬鹿にしよって!」
「言ってない!言ってないって!!」
どうしてそんな話になっているんだ!?
「とっても似合ってたって!!」
「まだ言うかーー!!」
更に勢いを増して箒を振り回してくる。
しばらく追いかけっこが続いたが、現役剣士とずっと家にいる女の子では体力が違った。
先に体力が切れたキクちゃんの足が止まり、肩で息をしている。
「あんたらも黙って見てないで捕まえんかい!!」
玄関で傍観しているジル達を振り返り、キクちゃんがそう指示をだした。
いやいや、アイツらがそんな指示に従うわけ……
三人がジリジリと俺に近付いてきた。
「お前らどっちの味方だよ!」
「あんたの味方じゃないのはたしかよ!」
「だって、ご飯食べられなくなったら嫌だし」
「おキクさん怒らせたら怖そうだし」
アトルは知らんぷり。
あっさり仲間に見限られた俺は、取り押さえられキクちゃんの前に連行される。
無理やりお尻を突き出した格好をさせられ、二、三回の素振りの後、箒がお尻にそっと当てられる。
そして
バチコーン!!!
「あいたーーーー!!!」
「参ったか!悪ガキが!!」
強烈な一撃に「まいりましたー」とお尻を押さえながら地面を転がった。
無様な俺の姿を見て全員クスクスと笑っていた。
くそー覚えてやがれ
醜態をさらした俺は、なんとかキクちゃんに許してもらえ出入り禁止は解除された。




