出入り禁止(アムロ視点)
「皆誤解してるって。俺怒られるようなことしてないからな」
誤解だと説明したが「そんな話信じれるわけないでしょ!」と誰も信じてくれない。
完全に強姦未遂犯あつかいだ。
まあ下着姿の女の子が泣きながら出てきたら、そうとしか見えないだろうけど。
あれは自分で脱いだんだからな。マジで。俺指一本触れてません。信じられないだろうけど。
アトルの方を見ると「あちゃー」と言う顔をしていた。
え、何、信じてくれてるのか俺の話。
アトルが一番信じないと思っていたのに意外だ。
「アムロはもうお菊さんに近付かないほうがいいよ」
「あんなことされたらトラウマよ!」
「あんなに泣いちゃって。お菊さんかわいそう」
俺への援護射撃を期待してアトルの方を見る。
俺視線に気が付いたアトルは表情を改めた。
「……だな」
ぬわあにが「だな」だ!乗っかる気まんまんかコイツ。
くっそーー!!何もなかったことわかってるくせに。
俺の無言の訴えから目を逸らし素知らぬ顔をしやがった。
こうして俺は、アトルの家の出入り禁止になった。
朝迎えに行くときは俺だけ森の入り口でお留守番。帰りも家によることなくアトルを下ろしてさっさと帰ることになった。
ちっくしょう!こんなはずじゃなかったのに。
ほんのちょーーっといたずらして、俺を雄として意識してもらおうと思っただけなのに。
いやまあ、いけそうならいってしまおうとは思っていたけど。
「あーもう、キクちゃんに会いてー」
かれこれ一か月以上会っていない。
キクちゃんのつくったお弁当を食べながらぼやく。
あの後も俺のぶんのお弁当をちゃんと作ってくれている。超うめえ。
アトルを下ろした後の帰りの馬車の中でも「もう十分ほとぼりも冷めただろうからいいだろう」と訴えてはみたが
「いい加減にして!アムロがお菊さんにちょっかい出すせいで、アトルの機嫌が悪くなるんだから!」
「ベラもね」と言ったジルが殴り倒される。
「私もおキクちゃんのご飯がたべたいのに。アム兄のせいで」
と逆に文句が返ってきただけだった。
どうにか、謝る機会をつくってもらえないだろうかとこっそりジルに相談してみる
「もう諦めなよ。どうみてもあの二人は両想いじゃないか。かき回したらかわいそうだ」
「でも恋人じゃないんだろ?ならまだチャンスはあるわけだ」
「そう思ってるうちは、会わせれないよ」
そういって断られた。なんなんだよクソ。友達甲斐のないやつだ。




