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おばあちゃんが異世界に飛ばされたようです  作者: いそきのりん
大切なもの(アトル中心)
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相談

 思い切り荷物をひっくり返す。


 おかしいのお

 念のために持って来たと思ったんじゃが。



 つい先ほど、男の子から内緒の相談をうけた。

 お母さんの具合が悪くて薬を買ってあげたいがお金がなくて困っているらしい。


 なんとか薬を買うお金を出してあげたいが今お金はラナが管理している。

 あんな老婆にお金を持たせちゃ危ないと思われてるようで心外だが、前回失態を犯したのも事実なので文句は言えない。


 ちょっと行き違いがおこっただけなんじゃがな。

 まあ、過ぎたことをとやかく言っても仕方ない。


 生活に困らない程度は渡されてるし、それ以上必要になったらちゃんともらえる。

 ただ今回の話、ラナに話して果たして信じてもらえるかどうか。


 それともう一つ問題があった。

 最近店への嫌がらせが続き、ラナ達は対応に追われている。

 まあ、まず間違いなく同業者の仕業じゃろう。

 こういうのがあるから商売は大変なんじゃ。


 どんなに強がって見せてもラナはまだ若い。この悪意の行為に相当傷ついたじゃろう。

 今度会ったときはしっかり励ましてやらねば。


 というわけで、ラナに相談できそうな雰囲気ではない。


 どうしたものかと悩んでいたら、魔法石があったことを思い出し、今大急ぎで探している。

 何とか見つけ出した魔法石を風呂敷に包む。

 ついでにパンとリンゴとチーズとハムと、とにかく思いつく限り役に立ちそうなものをいろいろ詰め込み縛った。


 護衛さんに適当なお使いを頼み、いなくなったところを見計らって家をぬけだした。


 護衛さんには悪いが内緒の相談と言われたんじゃ。すぐ帰ってくるし許しておくれ。


 大通りを抜け路地裏に入る。


 言われた場所にいくと、例の男の子が立っていた。

 わしを見るなり安堵の表情を浮かべたところを見ると、わしが来ないと思ったのじゃろう。


「ほれ、ちゃんと来たぞ。わしゃ嘘つかんからの」


 たった今護衛さんに嘘ついたばかりじゃけどな。


 その子に風呂敷ごと手渡す。


「これで、お母さんを助けてあげんしゃい」

「それにおまいさんも元気でおらんとお母さん治るもんも治らんよ?」

「しっかり食べて栄養つけえ」


 男の子は緊張した面持ちでわしの話を聞いていた。


 子供がなんちゅう顔しとるんじゃ。

 元気づけるように頭をぐしゃぐしゃとなでていると。


 突然後ろから口をふさがれた。


 なんじゃ!

 なにするんじゃ!


 声は口に当てられた布に吸収され、フガフガフガという音にかわる。いつの間に現れたのか、人相の悪い男が二人わしの後ろに立っていた。


 前を見ると男の子がガタガタと震えながらこちらを見ている。こりゃいかん!

 わしは必死にもがいて何とか出来た隙間から叫んだ。 


「はよ、逃げ!」


 言い終わるか終わらないかのタイミングで再び布が当てられ口をふさがれる。冷たい感触の後むせるほどの甘い香りが香った。

 一体何の匂いかと思っているとツンと頭の奥に痛みが走り世界が回り始めた。足の地につく感覚がなくなり浮遊感に包まれる



 意識が遠のく中、狩に行ったまま帰って来なくなったあー坊の姿を求めた


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