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夢の世界で魂を求めて -ソウルメイト-  作者: nusuto
第二章 ガルナドク解体作戦編
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第二十四話 消えゆく夢と共に(下)

 全身に虹色のオーラが輝きだし、体の底から力が溢れてきた。力は無限に湧き出ており、剣の表面も虹色に染まっていた。俺はライラに向かって駆けると、多くの傷を負っているのに体が軽く、剣を振ると腕の力を消費せずに衝撃波を放つことができた。体への悪影響がなく、さらに剣から生み出した圧縮された空気は勢いを増して、放った俺自身が後ろに吹き飛ばれそうなほど高威力の風圧を生み出した。ライラはこの風圧を槍で衝撃波を生み出して防御するが、槍から放たれた衝撃波は大きな空気の塊に飲み込まれ、200m以上離れた場所まで飛ばされ、鎧の一部が欠損したライラは地面に叩きつけられた。

 しかしライラはストレッチをしながら立ち上がり、右手から黒い槍を生成して構えた。ライラの表情から笑みが消えた。ライラは独り言を呟きながら左腕を俺に向けて伸ばした。

「ガルナドク様の言う通り、エルディアは危険な人物だと認識したわ。ここで倒さないとガルナドク様の理想郷が潰されてしまう。私はライラ、ガルナドク様に死の直前で命を救われ、他の部下よりも可愛がられ、唯一ガルナドク様に認められた戦士。他の奴らに尊敬するガルナドク様を邪魔させない」

ライラは真剣な表情で左手に無数の黒い粒を誘き寄せ、粒が1つに集まり黒い球体を生成した。黒い球体はライラの左手から徐々に俺に向かって離れ、右手で構えていた槍で球体を目掛けて振り払った。すると黒い粒が一斉に空気の塊と融合し、黒く染まる衝撃波が戦場を駆け抜けてきた。その衝撃波は地面を通過したときに2メートルの穴が出来上がるほど、今までの中で最も強力な衝撃波だった。

 この衝撃波を止めることは不可能に近い。何か他に策があるか考え、辺りを見渡した。周辺には全焼した商店街と倒壊した城しかない。高い場所に避難する方法は無理だ。仮に高い場所に登ったとしても、強力な風に巻き込まれ、瓦礫と共に吹き飛ばされるに違いない。

 ならば地面を利用するしかない。俺は心の中のフローレンスに尋ねた。

「衝撃波や魂の力を利用して地面に穴を空ける場合、剣で穴は何m掘れるか?」

「分かる訳ないでしょう!私だって衝撃波を使って穴を開けないわよ!シャベルを使って地道に掘るわよ!」

フローレンスは真面目に答えてきた。衝撃波を利用できたフローレンスも実験したことがないが、この作戦に賭けるしか方法がなかった。

「フローレンス、剣先に力を集めてくれ」

「まさか地面に衝撃波を放つの?何が起こるかわからないわよ、やめてよ!」

「黒い衝撃波を押し返すことは出来ないし、他に回避策がない!この一振りに俺達の運命を賭ける!」

「無茶わよ、エルディア!失敗したらどうするのよ!セレストさんやメルマールさんと会えなくなるわよ!」

「セレストやメルマールを取り返すためにやるんだ!失敗するかもしれないが、俺には根拠はないが成功させる自信がある!だから手伝ってくれ!」

「手伝ってあげる。でも死ぬなよ、エルディア」

フローランスは折れてくれ、剣先に宝石のように美しく輝く虹色のオーラが現れた。俺は頭上まで剣を持ち上げ、一気に思いっきり剣を地面に突き刺した。地面は大きな振動が発生し、大地震のような感覚だった。立っていられるのが精一杯だった俺は衝撃波で生み出された直径20mの大きな穴に吸い込まれた。穴の底から湯気が発生しており、地面を掘りすぎてしまったと後悔しながら、地面から10m落ちてから土に剣を突き刺した。体がこれ以上落ちないように土に剣を深く突き刺しながら上空を見つめた。すると黒い衝撃波は突風を発生させながら俺の目の前を通過した。


 ライラに正面で戦って勝てる訳がない。再び黒い衝撃波を発生させられたら、対策を打たれておしまいだ。しかも魔法の能力も高いので、一方的に負ける可能性が高い。ならば俺が掘った『穴』を利用するしかない。俺は不可能と分かっていながらも、フローレンスに無茶なお願いをしてみた。

「フローレンス、剣を複製してくれないか?」

「いいわよ、左手に持たせてあげるわ。武器を力のある限り生成できるから、魂の力って便利よね」

「そうだったんだ、初めて知ったよ」

魂の力の隠された能力に驚きながら、左手に右手と同じサイズの剣を作成してくれた。これなら作戦は実行できる。俺は右手で握っている剣を土にさらに深く突き刺しながら、土を右足で大きく蹴り、左手で握っている剣を大きく振ると衝撃波が発生した。するとフローレンスは怒り狂った声で俺に説教してきた。

「何やっているのよ!自分の立場を分かっているの?自分自身を追い詰めてどうするのよ!」

「もちろん分かっている、だから遠く離れた土に向けて衝撃波を放った」

「穴が崩れるわよ!どこから逃げるのよ!」

「そうさ、穴を崩すためにやったんだ」

「バカ!」

心の中で「バカ!」と叫び続けるフローレンスを無視しながら、20m先の土に着弾したことを確認した。すると勢いよく20m先の土に大きな亀裂が発生し、さらには勢いよく多くの家屋が穴に吸い込まれた。そして目を凝らしながら遠くで2発目を準備していたライラが穴に落ちてきたことを確認した。卑怯だが、アリア達を救うにはこれしかなかった。

 俺はライラに追い打ちをかける。右手から剣を放し、ライラに向かって土を左足を蹴った。

「フローランス、剣を生成してくれ」

「何やっているの!本物のバカなの!自滅したいの!?」

「違う!さっさと剣を寄越せ!」

「何を考えているか分からないけど、一応渡しておくわ、アーネストリス帝国のバカ英雄!」

うるさいフローランスを受け流して、生成してくれた剣を右手に持ち、2本の剣をバツ印を作るように構えた。そして腕が引き裂かれるほどの力で剣を2本同時に振り、2つの衝撃波を発生させた。俺は衝撃波を発生させた反動で後方に飛ばされ、骨に痛みが響くほど土に叩きつけられ、すぐに2本の剣で土に突き刺した。

 ライラは土砂崩れで槍を落としてしまい、さらに瓦礫に巻き込まれて血まみれの体で穴に吸い込まれていた。ライラは指の骨が折れた右手で槍を生成しようとしたが、その瞬間、俺が放った衝撃波が全身を覆った。ライラは「ガルナドク様!」と悲鳴を上げながら、鎧が粉々になった体は湯気を勢いよく噴き出している穴の底へ落ちていった。


 アーネストリス帝国の英雄らしくないズルいやり方でライラを倒した俺だが、まだ困難が去っていなかった。どうやってアリア達に辿り着くか?

「フローランス、俺はどうやって登ればいいのか?」

「作成を実行する前に考えておきなさい、このバカ!」

フローレンスの怒りが再び爆発するが、その後自慢げに話してきた。

「でも1つだけ策がある、もう1人の私に伝言するのよ。もう1人の私、穴から私を救い出して」

「だがもう1人のフローレンスは黒い塊になったはずだ」

「大丈夫、もう1人のフローレンスと会話できるということは黒い塊から出たはずよ」


 数分後、上空から紐が垂れてきた。そしてアリアとクラーラが俺を上空から見下ろして叫んだ。

「エルディアさん、もう大丈夫だよ。早く紐につかまって」

「エルディアさん、すぐに治療しますから、残りの力で紐を握ってください」

「アリア、クラーラ、ありがとう」

俺は両手で紐を握り、上に向けて引っ張ってくれた。穴から抜け出し地面に足をつけると、アリア、リル、クラーラ、エミ、メルマール、セレスト、メイド姿のフローレンスが黒い塊から抜け出し、笑顔で俺の無事を喜んだ。その後、全身が動けなくなった俺はクラーラとメイド姿のフローレンスに介抱されながら、10人以上収容できる大型のテントの中に設置されたベッドに横になった。俺はメイド姿のフローレンスに小声で感謝を伝えた。

「もう1人のフローレンスを酷使して申し訳ない。だけど俺を救ってくれたのは君のおかげだ、ありがとう」

「どういたしまして。今後もよろしくお願いしますね、素敵な英雄のエルディアさん」

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