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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『剣聖』レオナルド・ヴァーミリオン

作者: 雨雲



今から確か数百年前のことになるな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


広大な農業地域を誇るライオス領。

そのライオス領にある小さな村で俺様、レオナルド・ヴァーミリオンは生まれた。


物心がつく頃には自分の住む村が貧しい村であることを理解していた。

当然、自分の家も貧乏で細々と暮らしていた。


村人達は皆どこか諦めた目していて、現状を変えようとする者はいなかった。


俺様は考えた。


このままこの村にいては、自分もこうなってしまうと。


それだけは絶対に嫌だった。


なので俺様は村を出ることにした。

父が護身用にともっていた剣を持ち出し、こっそりと夜に村を出た。


俺様が村を出たいと話したとき両親は反対した。

まぁ、まだ幼い子供がそんなことを言ってきたら普通の親は当然反対するだろうけどな。

子供が一人で外にでるというだけでも危ないのだから。


村から一歩外に出ればそこは魔物の闊歩する危険地帯なのだから。

子供が一人で村の外に出れば魔物の格好の餌食だ。

すぐに殺されてしまうだろう。


普通の子供ならな。


俺様は普通の子供ではなかった。

固有スキルという数万人に一人の確率でしか、持つものはいないと言われている強力なスキルをもっていた。


【剣神】


これが俺様の固有スキルだ。

固有スキルというのは生まれた時につくものなので、後天的に習得することはできない。


この世界には【剣術】スキルというものがある。

文字どおり剣術がうまくなるスキルだ。

その【剣術】スキルのスキルレベルを最大まで上げ、さらに努力を怠らず、修行を続けることにより【剣王】スキルへと変化する。

しかし【剣王】スキルはスキルレベルを最大まで上げても、上位スキルへと変化することはない。


そして【剣神】スキルは【剣王】スキルの効果を圧倒的に越える。


そんな【剣神】スキルを持った俺様は村を出ても魔物に殺されることはなかった。

むしろ魔物を瞬殺した。


近くの街に着くと俺様は冒険者登録をした。

そして毎日のように依頼をこなし冒険者登録をした一年後にはSランクへと昇格していた。

その頃には使いきれない程の膨大な貯金が貯まっていた。


レベルも軽く3桁を越え、俺様の相手になるような魔物はなかなか見つからなくなった。

それでも俺様は戦うことをやめなかった。

戦うこと以外に生きる楽しみがなかったからだ。

それからいくつもの街を転々としていた。


この頃から俺様は周囲から剣聖と呼ばれるようになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ある日、街の宿屋で獣人族の少女に出会った。

昔は獣人族は自分達の領土にこもっていて、滅多に人族の領土に足を運ぶことはなかった。

今となっては人族の領土にも、それなりの獣人族がいるけどな。


それは運命の出会いだった。

俺様はその少女に一目惚れし、求婚した。

獣人族の女というのは強い男を好むらしく、俺様の強さを示すと少女は俺様の求婚を受け入れた。


結婚した俺様達は獣人族の国へと引っ越した。

引っ越した後も俺は戦うことを止めなかった。

気づいた頃にはレベルは4桁を越えていた。


レベルが4桁を越えた時、俺様は後天的に習得することはないとされている固有スキルを一つ手にいれた。


【不老】


このスキルの効果は老いることがなくなるというものだった。


それから数年後、俺様の家に怪しい人間が侵入してきた。

その人間の気配に即座に気づいた俺様はすぐにそいつを捕まえた。

俺様の家に侵入した目的を聞いても口を割らなかったので、とりあえず腕と足を切り落とした。


その後、その人間から得られた情報は俺様の怒りが頂点に達するには充分なものだった。

この人間は俺様を脅し利用するため妻を誘拐しにきたのだそうだ。

俺様はその人間の首を切り落とした後、その人間の国を滅ぼした。


その後、一晩にして一つの国を滅ぼすことのできる力を持つ俺様を利用しようと幾つもの国が企んだ。

そして俺様を利用しようと俺様の生活の害となる国は全て滅ぼした。


人族の国を3割ほど滅ぼした頃やっと俺様に害をなそうとする国は無くなった。


そして、数百年がたった現在、人族は俺様が幾つも国を滅ぼした被害をなんとか埋めることに成功していた。

しかし、当時の愚かな過ちを忘れることはなく俺様にちょっかいを出してくることは未だない。


国を滅ぼしまくっていた当時は世界序列1位だった俺様も、現在では世界序列2位となり随分とおとなしくなったものだ。

時がたつのは早いものでもう俺様もそろそろ七百歳くらいになる。

当時、俺様が誘拐から守った妻は寿命で死んでしまった。


【不老】スキルによって寿命のなくなった俺様は、周りの者が老いて死んでいくのを見守るしかない。


昔からの知り合いといえば龍神と死神くらいだ。

龍神は強かったな。

俺様を殺すことのできる可能性を唯一持つ存在と言えるだろう。


そういえば昔、龍神に聞かれたことがあったな。

なぜお前は人族なのに獣人族に肩入れするのかと。


俺様はこう答えた。


妻が獣人族だったってものあるが俺様は獣耳を愛しているからだ、と。

実のところ妻に一目惚れしたのはそれが理由だったりする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最近、死神が死んだらしい。

つまり世界序列に空白ができることになる。

てことは人族は百年後くらいには滅びるかもな。


死神に代わる、人族に味方する圧倒的な強者が現れなければ。


まぁ俺様には関係ないが。


一年後、龍神が俺の元に訪れた。

あの面倒事が大嫌いで龍人族のこと以外では動かないとされている龍神が。


事情を聞いてみると、龍神の持つ固有スキル【管理者】に引っ掛かる存在が人族の領土に現れたらしい。

それについてなにか知らないか、とのことだった。

俺様はそんなやつは知らない。


龍神の【管理者】に引っ掛かるほどの存在か。


なかなか面白そうなことになりそうじゃねぇか。




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